第14話 「次の日の朝です」
「…………なんだこれは?」
昨日はあれから真帆さんに部屋の風呂で入浴してもらい、真帆さんの髪を乾かしてから俺も入浴した。
その間SNSのことは半分忘れかけていて、今朝起きてから「そういえば」と思いツミッターアプリを開いて確認したのだが……なんだこれは。
「バグかなにかだろうか」
先日作ったツミッターアカウント。未だ事務所とMAKOTOしかフォローしていないアカウント。そのフォロワー数が、おかしいのだ。
「三十万人…………?」
三十万。一体一晩で何があったというのだろうか。投稿ひとつしかしていないアカウントをここまでフォローする人がいるとは……?
本当にこれ全部人間がやってるアカウントなのだろうか訝しげに携帯をみつめる。
通知を開き、スクロールしてみると数々のコメントが寄せられていた。
曰く「祐太郎様の続報を心待ちにしておりました(手が生えている絵文字)」
曰く「祐太郎様SNS始めてくれて有り難う御座います! ツミート楽しみにしてます!」
曰く「祐太郎様、MAKOTOくんとなかよぴなんですね。お幸せに……(よくわからん絵文字群)」
曰く「祐太郎様神々しすぎではないですか?(拝む絵文字)」
総評してみると大体そのようなものばかりだ。概ね好意的で、更に機械が自動で打ち込んだもののようではないので少し気が抜けた。
たまに変な画像やコメントがあるがこれは気にしなくていいものなのだろうか。
フォロワーの欄を見てみると、ファンアカウントらしき者たちから本名のアカウント、イラストを描く者たちのアカウントに写真家のアカウント。更に芸能人の公式アカウントまであった。ああこの人物、テレビで見たことあるな。
というか示し合わせたかのように様付けなのは何なんだ。身分の情報が流出しているのか?
考えても仕方がないのでスマホをしまい、朝の仕度を終えて、二人でレストランに行くために真帆さんの様子を確認しに行こうとしたときだった。
「はわ~~!」と真帆さんの叫び声が聞こえ、彼女が祐太郎さん祐太郎さんと走り寄ってきた。「どうしました!?」と彼女に駆け寄る。
「い、インステ見ましたか……?」
「いえまだツミッターのみですが」
「みみみ、見てください」
言われるがままインステのアプリを開くと、自身のフォロワー数がとんでもないことになっていた。
「四十万人…………」
世の中の人はこんな活動が未だ乏しい一人のモデルに対して反応速度が早すぎるのでは無いだろうか?
***
誰をフォローするか、という問題は先送りにすることにした。取り急ぎ真帆さんがとても世話になっているという人々について教えてもらいフォローを返しておいたが、他は全く門外漢なので五十嵐さんに相談するということになった。
五十嵐さんにメッセージを送るとすぐに既読がつき、喜んでいるスタンプが返された。
彼女は「昼までにリストアップしておくわね」とにこにこした絵文字をつけて返信してきた。
テンションが高い。
「いやぁ……びっくりしましたね……見たとき私まだ寝ぼけてるのかなって思ってました……」
「俺もですよ。とても有り難い事ですが、発言や行動にはより気を付けなくてはね」
「祐太郎さんなら大丈夫ですよ!」
「ふふ……ご期待に添えるように致します」
専用エレベーターでそんな会話を交わしながら、真帆さんをエスコートする。
エレベーターがチンと鳴って一階につくと二人は外面を貼り付けた。
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