第8話 最終回『落とし物』
やましんA:『あのさ、ぼくさ、落とし物探しに行かなくちゃ。』
やましんB:『どこに?何を?』
やましんA:『ほら、55年前に、昔のおうちのそばの公園で、ハートのトランプ落としたろう?あれ、探さなくっちゃ。』
やましんB:『いやー、ちょっと、もう、まだあるかどうか、よくわかんないなあ。たしか、あのベンチの下だろう?なんで、次の日に探さなかったの?』
やましんA:『なくなったの気がついたのが、ずっとあとだったから。でもね、あのころまでは、わりに楽しい人生だった。しんちゃんの事故以外はね。たぶん、ぼくたちあそこで、みんな、良い事を落っことしたんだよ。きっと。』
やましんB:『そりゃ大変だ。キミの責任だから、探しておいでよ。』
やましんA:『あのね、ぼくが行くなら君もゆく。そういう決まりなんだから。』
やましんB:『仕方ないなあ。でも、どうする? 自動車は禁止されたし、お金はびーちゃんに握られてるし。』
やましんA:『歩こう歩こう。いつもそういわれてるじゃあん。歩け歩けって。』
やましんB:『うん。同感だ。』
やましんA:『珍しいなあ。君と意見が合うなんて。じゃあ行こうか!紙パンツ忘れないでね!ついでに、ねんどやまにあがって、お星さまを取ろうね。』
こうして、『やましんA』と『やましんB』は、お出かけをしました。
でも、この後ふたりがどこに行ったのかは、さっぱりわからなくなったのです。
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これから10年ほど先に、起こったできごとです。
************ おしまい ************
やましんAとやましんBの対話 やましん(テンパー) @yamashin-2
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