第23話 突入
館の内部は奇妙に捩じれていた。『異能』で無理やり動かしていたひずみか、天地が逆転している箇所や、あちこちに亀裂や損傷が見受けられた。
「曲がり角に二人います」
「おっし!」
先頭を行くのは意外にも子鼠達であった、耳と鼻を活かした察知能力を駆使して索敵を申し出たのだった。無論、ミオニスに有用さを見せつける意味もあったが、誰よりも早く敵を察知することで、先制攻撃からいざと言う時の逃走まで優位に立つと言う目論見もあった。
「『足元を這い滑る』‼」
一行が角を曲がった時、すでに二人の魔人は床に『沈んで』いた。地面を液状化させ操る『異能』を、ジョーノは落とし穴のように扱った。
それは元の持ち主の様に圧倒的な力として再現するには力量不足だが、あくまで少数相手に対してならば盗賊時代からの持ち前の長所を発揮できることの現われだった。ミオニスに抱かれ、記憶に殴られる必要もあったが。
「調子がいいぜ!」
「誰のおかげか忘れるでないでの!」
「わかってるってミオニス! シロさん、部屋はこっちであってるんだよな?」
「はい、もうすぐです」
『見上げる者よ』による混乱と、体勢を立て直すためにセシュン軍が一か所に集まっているという事情はあったものの、一行はさしたる抵抗も戦闘も経ずにネゴのいるだろうミオニスの部屋へ接近していた。
「‼ すんげえのがいますべえ‼」
「お、おいらも感じるだあ!」
が、好事魔多し。一行の目の前に一人の魔人が現れた。
昆虫、クワガタの特徴を身に宿したミオニスと同じくらいの歳の女だった。
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