第5話
しかし、そんな人間の思惑などは自然の前では何の意味をなさない。その後も何年も悪天候が続き、蓄えなどほとんど無くなることとなる。そして、村を2つに分けたがために、投票も2つの村で別々に行われるようになっていた。2つの村では次第に対立するようになり、蓄えのある方の村に略奪に入る若者も出るようになっていた。
中年以上が残った村の方でも元の1つの村に戻そうという投票案が出ていたが、このような略奪行為が頻発していたためその案はあっさりと却下される。そして村を守るための投票がなされ、2つの村の間に高い壁が作られてほぼ完全に村は分離されることになった。
それから数年、食糧不足による栄養不良で疫病も蔓延して、若者たちが移った村はあっさりと全滅した。一方で、中年以上が残った村はかろうじて食い繋ぐことは出来ていたが、もう子供も作ることも出来なくなっていたために、こちらも十数年の後にすべての村人がその姿を消すこととなった。
こうして誰もいなくなった村は深い緑の自然の中へと戻っていった。 そうそれだけの話。
ある平等な100人の村の話 ゆたりん @nirakuyu
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