第4話

そして投票結果は、これまで通りに平等に蓄えを配分していくことに決まった。ここには数の上で有利な中年以上の者の票数が大きく寄与した。当然、若者、特に子供を持つ者たちからは大きな不満が沸き起こった。


この動きに危機感を覚えた村人は即座に再び投票により決断をすることに決めた。


現段階では元沼地の方の農地はほぼ使い物にならない。しかし、天候さえ戻れば十分に作物は育つ。そこで、村の構成を2つに分離して、そのどちらかを沼地だった方に移転させるという案が出された。これで村は2つに分かれることになる。構成は若者の集団と中年以上の集団で分ける。そして、どちらの集団が元沼地の農地に行くのが村にとって最善かを決めるのが投票内容となった。


若者たちは自らの方が数の上で不利だということは分かっていた。しかし、かつての投票では若者の将来が選択されている。そう、かつて若者だった中年以上の者も再びそのような選択をしてくれるはずと期待してこの投票に賭けることにした。


投票に際しては様々な訴えがあった。そして投票の結果は若者の方が元沼地の農地に行くことに決まった。若者たちの思惑は大きく外れた。しかし、そもそも一人一票という平等の上ではこのような結果は当然であるとも言える。


この時点では中年以上の者も思惑を持っていた。前回の不良の経験からすれば、この悪い天候ももうすぐ終わるはず。若者たちならもうしばらくは持ち堪えられるだろうし、そうすればまた投票で元に戻せばいいだろうと。

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