第3話
村にはこのような経緯があったものの、その後は天候も戻り収穫も順調になっていった。
しかしそれから十数年後、天候が悪い年が続き再び作物が不良に見舞われることとなった。前回の経験もあり村人も知恵を出し合って事に当たっていたが、それでも天候には敵うことはなかった。
沼地だった土地ではほとんど何も育たなくなり、かろうじて元の土地で作物が育つという有様。再び村の将来に関わる事態を向かえることとなったため、また投票を行うこととなった。
この時点の村の人口としては、かつて大きく増えた50人を中心に中年以上が70人、そして新しく生まれた子供が成長し成人した数が20人、あと10人はまだ成人していない。
前回の投票では子供に食料を優先させるという結果になった。しかし、それは老人の数が少なく、若者の数が多かったために票がそう動いた結果に過ぎない。当時を知る者は、前回同様の結果になれば、切り捨てられるのは自分の方だということが分かっていた。若者や子供を救うにはそうするしか術がない。
危機感に駆られた村人の多く、特に中年以上の者は当時のことを思い出していた。こうして投票に合わせて村内には様々な噂や思惑が飛び交った。
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