第2話

さらに10年、元は沼地だった土地でも作物が順調に育つようになり、増えた50人の子供もすっかり成長して成人を迎えてそれぞれ子供を作るようになった。


しかし、ここで事態が一気に悪化する。天候の不良もあり順調だった作物の収穫が目に見えて落ちるようになる。収穫量の減少は村全体に及んだが、特に沼地だった土地では壊滅的な状況であった。村にはこれまでの蓄えがあったためにしばらくは持ち堪えはしたが、次第に体が弱い者から息絶えていくこととなった。


そして、村では再び投票を行うこととなった。


このままでは村自体が成り立たなくなってしまう。しかし、もう蓄えもあまりない。村の将来を考えるのであれば、子供に優先的に食料が届くようにすべきというのが投票の対象となった。


年老いた者の中には、それでは年長者の知恵を失うことになってしまうと訴えるものもいたが、投票は一人一票。当然、以前に大きく増えた50人の票数は大きい。現段階では年老いた者は食料不足により衰弱し息絶える者も多く、その数を大きく減らしていた。


こうして投票の結果、残った食料は子供に優先されるというように決まった。


結果として、年老いた者はしばらくの後に村からは消え果てた。

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