ある平等な100人の村の話

ゆたりん

第1話

昔々、あるところの山深い僻地に100人の村があった。


ある年、気象や天候に恵まれ数年分に相当する作物の収穫が得られた。

そうすると農作業に用いる家畜も増やすことができ、さらなる農地の開拓も見込まれる。そこで村人は投票により、今後の村の方針をどうするか決めることとなった。


この村では独自の投票制度があり、成人であるのなら誰にも平等に一票を投じる権利が与えられていた。成人の条件は特に儀礼を通過する必要もなく、ある一定の年齢を迎えればそれで成人として認められる。


こうして村では投票を行ない、結果として村の外れの沼地を開拓して新たな農地とすることに決まった。 沼地を開拓するには排水路を引いて、新しく土を入れて水場を埋める必要がある。作業としては家畜だけではどうにも労働力が足らないため、村の若い者たちにもっと子供を作るよう促すこととなった。幸いにもその後も天候に恵まれる年が続き収穫も多かったため、若い者たちは苦労しながらも多くの子供を養っていくことができた。


こうして100人の村は人口が一気に増大して、新たに50人増え、計150人となった。


そして10年の後、沼地はすっかり姿を変えて農地として使えるまでになる。

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