第22話 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(ミッシェル ガン エレファント)
いやあー、もう、これは書くしかないですね。
これを書かずして、何を書けばいい。いつ聴いても色褪せないというか、古臭くなくカッコいい音楽って数少ない。そのうちの1つが「ミッシェルガンエレファント」です。
買いましたよ。
リットーミュージックムックから出た「アベフトシ」。ギターマガジンでのインタビューや、スコアなんかが載ってる本なんですけど、改めてカッコ良さを認識するのであります。
最初のインタビューでバンド名の由来を聞かれ、アベフトシは「これは秘密で教えるわけにはいかない」と答えてるのですが、これはチバユウスケの友人がダムドのアルバム『マシンガン エチケット』を筆記体で書いたのを読み間違えたことが由来と言われています。この間テレビでバカリズムが、「大人になって筆記体って使わないですよね」って言ってて、そうだなあ、今読めないし書けないもんなあ、と思いチバユウスケの読み間違えが「ミッシェルガンエレファント」を生み出したかと思うと、その時神様が降りてきたんじゃないかと思うほど、「ミッシェルガンエレファント」のバンド名は「ミッシェルガンエレファント」でしか考えられない。
というわけですが、僕、昔から好きだったかというとそうでもなく、猛烈に聴くようになったのもつい最近。それこそ、1番聴いてたのって去年ですかね。
僕の小説の方も読んでくれてる方はもうお気づきかと思いますが、僕の第1作目「アットホーム アサシン」という小説に出てくるキャラクターで「ダンゴムシ」という奴がいるんですけど、ミッシェルガンエレファントの曲がテーマソングになってる奴なんです。
元々「ダンゴムシ」はそんな重要キャラではなくて、ほとんど出てこないサブ中のサブキャラ設定だったのですが、なんとなく「ミッシェルガンエレファント」の『チキンゾンビーズ』を聴きながら書いていると、そのサブキャラと『ゲットアップルーシー』が自分の中で勝手に合致し、そのキャラが途中から最重要キャラになってしまいました。
「アットホーム アサシン」は2018年の夏頃、書き始めてたので、その頃は毎日聴いてた気がします。特にアルバム『チキンゾンビーズ』と『ロデオ・タンデム・ビート・スペクター』はほぼ毎日。
僕はむかし、さして理由はないがバンド名が「ザ」から始まったり、「ズ」で終わるのがあまり好きじゃなく、あとパブロックというジャンルがいまいちのめり込めず、パイレーツもドクターフィールドグットも好きではなかった。なんとなく雑誌では目にしていたものの、怖そうな風貌と「ザ」から始まるバンド名なので聴くのが遅れてしまった。
初めて見たのは、チバユウスケと東京スカパラダイスオーケストラのコラボ曲『カナリア鳴く空』。なんか深夜のPV流すような番組だったかな。スカパラは大好きで、竹中直人のバックで演奏したり、奥田民生、田島貴男とコラボして、チバユウスケですよ。もう聴くしかないわけです。
「ああー、この人ミッシェルなんとかの人だあ」
しゃがれ声がカッコ良く、他の歌も聴きたいと思い、CD屋さんでミッシェルガンエレファントを手に取るも、やっぱり「ザ」から始まるのに抵抗がある。「ザ」は、ストーンズやビートルズ、クラッシュとか、もう王道の王道、崇高なミュージシャンしか使ってはいけないと頑なに思っていて、自分たちのバンド名も、異様に「ザ」から始まる案を持ってくるメンバーにことごとく却下していて、またミッシェルを聴く機会が遠のいた。
続いての機会は、Mステでt.A.T.u.来日の時。記憶してる方も多いかと思うのですが、あのt.A.T.u.出演ボイコットの回です。放送時間が余ってしまい急遽『ミッドナイト・クラクション・ベイビー』を演奏してくれたのですが、そっちの方がカッコ良く、その時の通常の演奏曲を忘れてしまいました。
おおっ、と思い、その当時は沼津のアパレル店に勤務していて、それこそピタピタのモッズスーツを着て店に立っていたので、ちょっとこの人たちカッコいいのではと興味を持ち、一緒に働いていた同じ年の女の子がわりと音楽通で、「これ、好きそう」と貸してくれたのがアルバム『ギア・ブルース』。
これはあのMステの曲が入っているのではないか、と何回も聴いたがわからない。なにせノーマークで見て、おお、っと思ったので曲名をチェックしていなかった。たしか「○○○○・○○○○・○○○○」の単語3つくらい並んでいる曲だった気がする。『ギア・ブルース』を何回か聴いて、1曲目の『ウエスト・キャバレー・ドライブ』かなあ、これはこれでいいんだけどこんな曲だったかなあ、と少しずつ熱量が冷めていくのです。
この時『SABRINA NO HEAVEN』を聴いていれば、パシッとハマってしまったと思うのですが、なんかタイミングを外してしまうのです。
そうこうしているうちに10数年経ち、ブランキージェットシティやバースデー、ロッソ、なんかは聴く癖にまだミッシェルガンエレファントに手をつけてない。『ギア・ブルース』もしまったまま聴くことがなく、アベフトシが亡くなり、もう聴く機会を失っていたところ、当時取引のあったアパレルメーカーの営業担当の人が超話しやすく、よく喋る人で、たまたま喫煙所で一緒にタバコ吸ってる時に、
「オノダさんって、ブランキーとかミッシェルガンエレファント、好きでしょ」
突然言われて、ああ、はあ、まあ、みたいなモニョモニョっとした返事しかできなくて、その当時は僕、殆どの服が黒で、タイトな黒パンに黒シャツでシルバーのネクタイしてることが多く、ああ、この格好見て言ってるんだろうな、と思い、なんとなくミッシェルガンエレファントを聴いてみようかと、中古ショップで『チキンゾンビーズ』を買って帰ったわけです。
あれ?
こんなに良かったんだ!
1曲目『ロシアンハスキー』なんじゃこりゃ!
40歳になるかならないかくらいの頃でしたかね、その頃息子の受けがいいダンスっぽい曲やR&Bっぽいのばかり聴いていた時期なので、その「ロック」って感じが異様に新鮮で。
『ゲット・アップ・ルーシー』『バードメン』『カルチャー』と聴いてくうちに、いやあヤバい。なぜ、今までこれを聴かなかったんだろうと後悔し始めるのです。それによく見たら「ザ」は「THE」じゃなくて、「THEE」なのです。もうどっちでもいい、カッコ良ければいいのです。CDたくさん買ってると、最近買ってるCDってすぐ飽きちゃって聴き続けているものってあまりない。もう全部揃えたくなる病気が再発して、一気に全部揃えるのです。
ミッシェルガンエレファント、全部いいです。それから毎日、寝る前までずっと聴いて、特に僕、小説書く時、ちょっとリズムに乗ってた方が書きやすいのでCDかけっ放しなんですけど、この「アットホーム アサシン」書いてる時は、本当ずっと聴いてました。
チバさんのカッコいい声、タイトでたたみかけるようなクハラさんのドラムに、それを静かだが攻撃的なウエノさんのベース。でもやっぱりアベフトシのカッティングなんだよなあ。
バンドって、メンバー変わる場合あるじゃないですか。でもこのボーカルが聴きたいって思って聴くから、メンバー変わってもバンドはバンドなんですよね。だけどミッシェルは違う。アベフトシがいない今、ミッシェルガンエレファントじゃない。
だからバースデーとして活動しているチバユウスケとクハラカズユキの潔さと、バースデーはバースデーだし、その良さがある。
やっぱりまた集まって、今のチバユウスケの声で「ゲット・アップ・ルーシー」聴きたい!と思っても、もうアベフトシはいない。
ミッシェル全部好きなんですけど、勝手に好きな曲をあげます。
「ゲット・アップ・ルーシー」
「ロシアンハスキー」
「キャンディハウス」
「暴かれた世界」
「ブラックタンバリン」(これ聴くとその直後、ブランキーの赤いタンバリンを聴くのがルーティンです)
だめだ、全部好きかも。
買ったアベフトシの本には丁度、「ゲット・アップ・ルーシー」のスコアが載っている。タンスの奥から久々に黒の安いテレキャスターを出して(超練習している人みたいにボディを紙やすりで昔擦りました)、弾いてみる。アベフトシみたいにピックを親指人差し指中指の3本でしっかり握って、思いっきり振り下ろす。
元々ヘタクソだった上に、久々過ぎて、全然コードを押さえられない..........。
追伸:ぜひ小説「アットホーム アサシン」も読んでください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます