雲取山登頂記

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雲取山登頂記

東京にも2000メートル級の山があります。

それが雲取山、標高2017メートルの山。

これは2017年に山頂を目指した記録です。


なぜ雲取山なのか?


まず2017繋がりで縁起が良い。(安易)

よく整備されていて初心者でも登りやすい。


実のところ登山と呼べるものは高尾山くらいでほぼ未経験。

道具に関してはキャンプが好きなので一通りは揃っていました。

追加でマップ、登山靴、大きめのリュックサックを買いました。


雲取山へは東京駅からホリデー快速奥多摩号に乗り奥多摩駅へ。

そこからバスで登山口のある鴨沢で降りて登り始めます。


前日は持ち物をリストアップして綿密にチェックしてパッキング。

早く寝ようと思いましたが興奮して眠れず、浅い眠りに終始。

当日は良い天気で睡眠不足でしたがウキウキ気分で現着しました。


ここで登山計画について書きます。


コースは最も使われている定番の鴨沢ルートにしました。

奥多摩小屋テント場に一泊して翌朝山頂アタックする計画。


しかし、初心者向けとはいえ2000メートル級の山です。

コースタイム登り6時間、標高差1500メートル、距離10キロ。

かなり過酷です。それと忘れてはならないのが荷物の量。

一泊ということでテント、シュラフ、食料、調理器具が必須。


リュックサックは大きめで背負いやすいグレゴリーバルトロを

奮発して買いました。総重量15キロくらいあったと思います。


ネットで情報を集め、スマホのGPS登山支援アプリを用意して

万全の状態で登山道入り口に到着しました。12月の初旬です。


実は私は大変な見込み違いをしていました。凡ミスです。

登山を侮っていたとも言えます。水を持っていかなかったのです。


途中に湧き水ポイントがあるし、冬だし汗はかかないだろうから

なんとかなるだろう、水は重いし一気に登りきってしまおうと。

本当に無謀でした。運悪くこの日は快晴で12月なのに気温25度。

あっというまにゾンビ状態になりました。(汗)


登山経験がないのでペース配分も考えず、ガンガン進んでいたので

2時間もするとペースが落ち、追い打ちをかけるように急勾配地区に。

途中の湧き水ポイントは渋滞中で誰も見向きもせず気まずくてパス。

結局、途中の七ツ石小屋まで命からがらたどり着いたのでした。


ここで給水。水道から出る水は冷たく、美味しいのなんの。

昼食としてカロリーメイトを4本食べて水を補給しました。


備えれば、コースは分かりやすく、ほとんど平坦で気持ちよく登れます。

混む紅葉の時期を外したにもかかわらずメモリアルイヤーだったせいか

ほとんどの区間で渋滞していました。すれ違うのも一苦労です。


なぜ山に登るのだろう?とストイックに自分を追い詰めるような

自分探しの旅みたいな登山を想像していたのでこれはガッカリ。

というか疲労と脱水でそんな余裕はなかったわけですが。


そんなこんなで宿泊地の奥多摩小屋テント場に2時ごろ到着。

広いテント場はもうすでにギュウギュウ状態。平坦な場所皆無。

仕方なく、林の中の傾斜のゆるい場所を見つけてテントを設営。

ようやく寝転んで休むことができたのでした。


もう身も心もボロボロでした。


足はつるし、普段使いの靴下を履いてきてしまったので靴擦れで

皮が剥けてひどいありさま。

明日は来た道をまた歩かなければならないと思うとゾッとしました。


ルーラの呪文を覚えとけばよかった、どこでもドアがあったなら

などと精神崩壊寸前でした。


しかし、しばらく休んで落ち着いてきて散歩する余裕ができました。

天気がよく、富士山まで見渡せるという絶景ポイントです。

あっという間にHPは回復し同時にお腹が空いてきました。


山では食事と睡眠が唯一の娯楽。


重いものは負担になるのでフリーズドライ食品です。

夕食はお湯を入れるだけでできるアルファ米とラーメン。


アルファ米は以前は非常食で味は二の次なのか超マズったのですが

いまは科学の進歩のおかげか炊きたてご飯のように美味しいです。

ラーメンは登山者御用達の棒ラーメンを持ってきました。


お腹が満たされると今度は睡魔が襲ってきました。

本は重いので持ってきてないしスマホは圏外。

まだ夕方でしたが特にやることもなくウトウトしていました。


ここのテント場は標高1800メートルなので冷え込みます。

昼間は暑いくらいだったのに日が落ちてから急激に気温が下がり

寝る頃は氷点下になっていました。


さていよいよ就寝です。明日に備えて質の良い睡眠を取りたいところ。

斜面だし林なので根っこがゴロゴロとかなりのバッドコンディション。

テントの下にはシートを敷いて、中には銀マット、シュラフは三層に

重ねて保温効果を高めます。これでようやく安眠できました。


爆睡とまではいかないまでも、気持ちよく朝を迎えられました。

しかし、心とは反対に体は反乱を起こしていました。

もう歩きたくないと足腰が泣いて訴えていました。(想像)


テントに荷物をおいて身軽になって山頂を目指す予定でした。

山頂まではコースタイム1時間ほどですが急斜面になるので

今回は諦めよう、生きていればまた来れるさと言い聞かせました。


帰路、登山では登りよりも下りのほうが危険だと言われます。

バランスを崩さないように慎重に歩くようにしました。

夜が明けて間もない時間だったので靄がかかって幻想的でした。


そうして2017年の雲取山登山は終わりました。

当初はもう二度と行くまいと思っていました。


しかし、一年経ったいま思い返しながらこの文を書いていると

また無性に行きたくなってくるのでした。


山ってイイネ!(結論)

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