第11話 今度こそ、さよならだ

「なっ……!?」

〈案ずるな、四季島シキシマユウ。私の力を四季島ユウの体に宿した。今の四季島ユウは、私の力を持っている〉

零鬼レイキ、信じてるぞ」


 今なら、僕でもシオリを止められる。そんな気がする。がむしゃらに突っ込むも回避される。


「喧嘩は全くしたことないだろ、ユウ。よく知ってるぜ」

「シオリと僕の思い出を……けがすな……ッ!!」


 何度も突っ込むが、捕まえることができない。


「はっはっは! 零鬼と聞いてビビったが、やはりユウはユウだな。面倒だ。先にユウからいただくとするか!」


 シオリの爪が鋭く光った。そして、一瞬のうちに十数回、僕を切りつけた。


「ぐぁっ!」

〈四季島ユウ、私の防御力をあなどるな。この程度の傷、すぐに治る〉

「そうは言っても、痛いのは痛いんだよぉ……」


 零鬼の言ったとおり、傷口はすぐに治っていった。


「さすがは妖怪の歴史の中でも最初期の妖怪だ……。簡単には倒せねぇか……」


 シオリは爪を束ね、1つの刃とした。


「だが、所詮しょせんは【憑妖ひょうよう】ってとこか。ユウの形が無くなる程斬っちまえばいいんだろう?」


 シオリが近づく。大きな刃を構えた。


「今度こそ、さよならだ」

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