第10話 同類

〈よくぞ名を呼んでくれた。私は四季島シキシマ家を護る者慈壊大奉冠じかいたいほうかん零鬼レイキ。四季島ユウ、君の力になろう〉


「力になるったって、どうやって? 【役妖えきよう】ってやつ?」


〈いや、それとはまた違う。少し君の体を貸してもらおう〉


「体をって……ちょっ!」


 僕の体は零鬼に乗り移られた。


〈さぁ、ヤツに向かって走るんだ〉

「……えっ?」

〈言葉で伝えるより、体験したほうが早い。走るんだ〉


 僕は戸惑いながらもシオリに向かって走った。一歩目を踏み出したときからわかった。体が軽い。これが零鬼の力なのか? 50m程あった距離を一瞬にして縮めた。


「なっ! ユウ、お前!」


 僕は本能的にシオリの服を引っ張り、地面へと倒した。


「四季島……くん……なの?」

「そうだよ。僕の顔になんかついてる?」

「だって、あなた……その姿は……」

「……?」


 僕は首をかしげた。


「ユウ、お前も正体を出したなァ!」

「なんだよ正体って?」

「お前も、妖怪だったんじゃねぇか」

「な、なにを……!」


 さっきのアイヴィーさんの目。僕はハッとして自分の手足を見た。異形の姿をしていた。

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