第9話 私の名を呼べ

「シオリぃぃぃ!!」


 思わず僕は叫んだ。アイヴィーさんの振り下ろした刀はシオリを外し、地面へと突き立てられていた。


「バカめッ!!」


 シオリは怒鳴ると右腕を横に振った。アイヴィーさんはなんとか回避したが、左腕を少し負傷した。シオリはアイヴィーさんの血がついた爪を舐めると再び立ち上がった。


「血だけでこんなにウマいとは思わなかったよ。”妖淘師ようとうし”さん……!」

「シオリ!! いい加減にしろ!!」

「ユウ、悪いな」


 ドクンッ……!


 再び心臓が大きく鳴った。


四季島シキシマユウ〉


 なんだよ、この声……?


 シオリはアイヴィーさんの元へと歩いていく。


「待てっ!」


 追いかけようにも、体が上手く動かない。


「くそ! こんな時に!」


 再び声が聞こえる。


〈私の名前を呼べ。すれば、力を与えよう〉


「なんだよ、名前って!?」


〈呼べ……〉


 頭の奥底から、なにかが湧き上がってくる。記憶がフラッシュバックする。これは、四季島家代々の記憶……!? その果てに見つけた。


「お前の名は……」


慈壊大奉冠じかいたいほうかん零鬼レイキ

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