第8話 助ける方法は

 木の陰から顔を出す。最初とは逆の立場だ。


「あの転校生……。まだ戦い慣れていないようだな……。くっくっく……。”妖淘師ようとうし”の魂はまたウマそうだ……」


 シオリの姿が見えた。指先が鋭く尖り、目は赤く光っている。その姿は、シオリを妖怪だと確信させるには十分だった。再びこっちに戻ってきたということは、こっちの戦力が自分より下だと確信しているようだ。


「アイヴィーさん、なんとかしてシオリを助ける方法はないの?」

「【宿妖しゅくよう】になった人間は、宿主ごと殺すしかないって聞いてるわ」

「どうにかできないのか……」


 シオリが近くで立ち止まった。


「かくれんぼが上手なやからがいるようだなァッ!」


 シオリは僕たちが隠れていた木を攻撃した。木は簡単に真っ二つにされた。


「シオリ! 目を覚ましてくれ!」


 必死に声をかけてみる。


「ユウ……」

「シオリ……!」


 僕らは見つめ合った。


「……お前、何者だ……? さっきの傷、そう簡単に治るワケがない」

「それは僕にもよくわからないんだ」

「それに、お前の魂。どんな細工してやがる……? 俺の爪でえぐり出せないなんて、なにかがおかしい」

「そ、そんなこと言われたってわからないよ!」

「まぁいい。ユウ、お前を殺してから考えることにするよ」

「シオリ……くそぉっ……!」


 ドクンッ……!


 心臓の音が大きく聞こえた。シオリが僕に近づいてくる。


「さようなら、ユウ……!」


 シオリは右腕を振り上げた。僕は思い切ってシオリの胴体にしがみついた。


「今だッ!!」


 僕の合図と共に、シオリの足を射撃が襲った。


「ぐぁッ!!」


 バランスを崩し、シオリは倒れた。


「シオリ、もうやめるんだ!」

「この程度の傷……!」


 シオリはまだ立ち上がろうとする。僕とシオリの間にアイヴィーさんが入った。


「……すまない……!」


 刀を振り上げ、そしてシオリに向かって振り下ろした。

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