第3話 打ち明けられた真実

――神社


 僕は足が震えていた。こんなところで、こんなものを見てしまうなんて。確かにここは人がいないから、隠し事を行うにはうってつけだ。


 最初からアレのためにここに来たのか?

 これからアレを繰り返すのだろうか?

 ここで見つかったら、次は僕の番だろうか?


 思考が巡る。

 体が震える。

 鼓動が高鳴る。


「……と、とにかく逃げなきゃ……!」


 なんとか歩くが、震える足が草木を揺らした。血の気が引いた。間違いなく見つかる。

 視線をアイヴィーさんの方に向ける。案の定、こちらに気づいたようだ。恐怖のあまり、足が動かなくなった。


 死――


「あなた……同じクラスの人よね……?」


 思っていた反応ではなかった。しかし、最終的に行き着く先は同じだろう。


「ここなら人が来ないって母さんから聞いたんだけど……」


 なにやらぶつぶつとつぶやいている。


「あ、あのさ……。アイヴィーさんは……その……。人殺しなの…?」


 自分で自分の発言に驚いた。よりにもよって、なんていうことを聞いているんだ僕は。


「あぁ、見てたの……」


 アイヴィーさんは、明らかに困った顔をしている。

 すると、僕の手を掴んだ。


「こっち来て」


 僕の体は引っ張られるがままに動いた。そして、倒れた男性の前まで連れて来られた。初めて見る死体。


 本物は血がドバーッと出るわけではないんだな。


 何故かそんなことを冷静に考えていた。


「これ、死んでないから」

「え……?」

「死んでない。私は人殺しではないの。わかる?」

「でも、さっき剣で刺して……」


 アイヴィーさんは頭を抱えた。少し悩んで、僕に打ち明けた。


「ワタシはね、妖怪を倒すためにここに来たの」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る