第2話 夜の神社、2人の男女

――4日後


 アイヴィーさんが転校して来てから4日。彼女を取り囲み、質問攻めしていた生徒たちはキレイさっぱりいなくなっていた。それは、全ての誘いを断り続けたアイヴィーさんにも原因はあるのだろうが、それでもあんまりな光景だ。

 アイヴィーさんが来る前と変わらぬ教室がそこにはあった。しかし、アイヴィーさんは1人の方が心地良さそうに見えた。シオリが僕にちょっかいかけてきたが、軽くあしらった。


――夜


 僕はジョギングをしていた。部活に入っていない僕は、少なからず体を動かそうと決め、ジョギングをよくするようにしていた。いつも、途中にある高天ヶ原たかまがはら神社で休憩をするのが僕のコースだ。この時間は、僕以外に人がいるところを見たことがない。月明りが無いと少し暗いが、居心地の良い場所だ。


 足音が聞こえた。

 この時間に、ここで休憩するようになってから初めての人だ。


 僕は思わず身を隠した。


「なんで僕は隠れちゃったんだ……」


 少々後悔しつつも、来訪者が気になり木の陰から顔を出した。

 人影は2人。空は曇っていて暗くてよく見えないが、髪の長い女性と背の高い男性のようだ。カップルだろうか。


「これは邪魔しちゃいけないし、どうにかしてここから出よう」


 僕がそう決め、脱出経路を探している間に声がした。それは先程いた男性の声。うめき声のような、太く低い声だ。僕は思わず2人の様子を見てしまった。

 髪の長い女性の方が、男性に剣を突き刺していた。


「……ッ!?」


 僕は思わぬ場面に出くわしてしまい、体が固まっていた。男性は倒れ、女性はそれを見下ろしていた。偶然にも雲が晴れ、月明りが2人を照らした。


 髪の長い女性は、アイヴィーさんだった。

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