第2夜

ふぁぁぁああああ!!

いらっしゃああああああい!!


じゃなかったぁ...


ふぁぁぁ、いらっしゃぁいー


だったにぇ!


BAR Mont Blancへようこそぉ!


今日のお客さんは誰かなぁ...?


ガチャン...


「いやぁ...、寒いね...」


「あっ、タイリクちゃん〜」


彼女はカウンターに腰掛けた。


「...何か温かいものが飲みたいな」


「わかったよお〜」


今日は、ちょっとオシャレなお酒じゃなくて...、まずは...


「はいよぉ〜」


「これは...」


茶色の具材が皿に乗っている。


「しずおかちほーのおでんだよぉ。

寒い夜にはこれと熱燗がピッタリだにぇ〜」


「へぇ...」


味の染みた大根に箸を入れ、口に運ぶ。


「...初めて食べたけど美味しいね」


「良かったよぉ〜!」


そして酒を飲む。


「はぁー...」


疲れ切った様な溜息を吐いた。


「最近漫画とかどうなのぉ?」


「全然だよ...、というか聞いてくれ」


「なに?」


「何で毎回私は殺されるんだい?

殺される回数が他のフレンズと比べて

多い気がするんだ」


「それは気の所為じゃない〜?」


「かばんと戦って死んだり、

かばんに毒入りのワインを飲まされて死んだり、かばんを庇ってキリンに殺されたり...、例をあげたらキリがないよ」


牛スジの串を食べながら言った。


「あんたに目玉を取られそうになった事もあったね」


「そんな事しないよぉ...」


「いいかい?私は死ぬ為に生まれてきたんじゃないんだ。第10話で漫画を書くフレンズの役として生まれてきたんだよ?

主役に抜擢されたり、怪盗にされる方がまだマシさ。何であの作者は私を...」


「愛情表現の一種なんだよぉ〜。きっと」


「愛情表現?」


「そういうさぁ〜、滅びの時っていうのが、オオカミちゃんは1番輝くんじゃないのかな〜」


「はあ?そんなの絶対目が腐ってるだけだって...。人が死んでく間際が好きだなんて気色悪いよ」


「そう言うのが好きなんだってぇー。

その作者さんはぁ。やられフェチなんだよぉ」


「なんだよそれ...」


酒を飲み干す。


「私は平穏に暮らしたいんだ。能力も危険な目もいらない」


「それはぁー...、直接本人に言った方がいいんじゃないかなぁ〜」


「本人っつったて...。

はぁ…、もう私を殺さないでくれ...。頼む」


ガチャ...


「あー、いらっしゃ...」



「金を出せ!コイツがどうなってもいいのか!」


黒服の人物が唐突に現れ、タイリクを人質に取り、銃を頭に向ける。


「何で言ったそばからこうなるんだよ!!

ふざけんな!!」


「あー、お金無いんだよねぇ」


「ちょっ、助けてよ!」


「じゃあコイツの命を奪うぞ」


「おい!何でもするから助けてくれ!」


「ん?

今、何でもするって言ったよにぇ?」


「...ハイ」


アルパカは金庫から金塊5つ取り出し

黒服に渡した。


「あるならさっさと出せ」


「ごめんにぇ〜」




「はー...、助かった...

私の死亡履歴に銃殺が書き加えられなくて...」


「オオカミちゃん、何でもするんだよね?」


「えっ、それは...」






翌朝、ジャパリカフェ。


「タイリクさん〜、全然戻って来ないから探しましたよ...」


「アミメっ...!?」


「タ、タイリクさん...!その格好は...」


「いや、これは、あの...」


「タイリクちゃ〜ん...?」


アルパカの方を見ると包丁をちらつかせている。


「あ、ちょっと待ってください。

動画を撮ってKemotubeに投稿しないと...」


スマホを構える。


「や、やめてくれ...」


「んん゛っ」


後からはアルパカの脅迫。

前からはアミメキリンの脅迫...。


仕方ない。


「魔法少女タイリク☆ウルフ!

きらきらドリーム、あなたのハートに

かみつくぞ〜!...」


「おほ〜...!!(恍惚)」


アミメキリンがスマホの写真機能で連写していた。




(頼むっ!!殺してくれぇぇぇぇぇぇ....)

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BAR Mont Blanc みずかん @Yanato383

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