第2話 赤ん坊になったんですけど?

目を開けると、まばゆいばかりの光があたりを満たしていた。

誰かの叫び声がする。子供の、それも赤ん坊だろうか。

まぶしくて、目が開けられない。

誰かに抱きしめられている感触がする。

心地いい。だが、ここはどこだ?あれからどうなった?

誰か!誰かいないか!

叫んでみても、自分の声は意味をなさない雑音になって発せられた。

さっきから聞こえるこの声は、まさか自分のものだろうか。

手足を動かしてみるが、地面の感触はない。

何者かが私の体を押さえつける。何が起こっているんだ。


―状態異常、混乱が追加されました。


誰かの声が頭の中に響いた。抑揚のない、無機質な口調で、状態が告げられた。

状態異常?そんな馬鹿な。

状態異常は無効にされるはず。

スキルが奪われたか?いや、失ったのか?


―スキル「分析」を取得しました。


何者かの声が再び響く。

分析、なぜこんな初歩的なスキルが今更取得されるんだ。

訳が分からない。さっきから体を押さえつけてくるのは何者なんだ。

光に目が慣れてきたのか、うっすらと目を開けると、

周りの様子がぼんやりと映り、それが次第にはっきりとしていった。

相変わらず耳障りな叫び声は聞こえ続けている。

自分を捕まえていたのは、巨人だった。

いや、正確に言うと、違った。

あたりを見渡し、自分の手足を認め、ようやく理解した、

自分は、人間の赤ん坊に転生してしまったのだ、と。


―スキル「分析」のレベルが上がりました。

混乱が解除されました。

スキル「混乱耐性」を取得しました。


声が再び響いた。

叫び続けた疲れからか、急激な眠気が襲ってきた。

本当に、訳が分からない、と、心の中でつぶやいた。


―状態異常「睡眠」が追加されました。


うるさい声だ。そう思ったのを最後に、意識は再び闇の中へ落ちていった。


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