第3話 やることが結構多そうなんですけど?
赤ん坊の体で、魔王は考える。自分には、早急にしなければならないことが二つある、と。
一つは状況把握である。
一体自分はどこに飛ばされてしまったのか、
それを確認する必要がある。
もと居た世界の一地方というわけではなさそうだ。
今まで見たことのない道具や言語体系だった。
まずは自分の置かれている状況を速やかに理解する必要がある。
二つ目は身の安全の確保である。
赤ん坊の体であるということは確認できた。
いまの肉体はあまりに非力である。
魔力もほとんど感じられないし、「スキル」もごっそりなくなっているようだ。
初期化されているのかもしれない。
鑑定も使えなくなってしまっているのでわからないが、
赤ん坊として転生していることを考えれば可能性としては当然ありうる話だ。
とにかく、今は何者かに襲われたらひとたまりもない。
自分が魔王であるということは秘匿しなければならない。
幸い、魔力の鍛錬をする時間はある。
今は貧弱な赤ん坊の体だが、今の時期から魔力に体を慣らしていけば幼少期を終えるころには、全盛期とまではいかなくとも、刺客を退けるには十分すぎる魔法が使えるようになっているだろう。
状況把握、安全の確保、これら二つの問題を解決すべく、
できる限りの手を打たなければならない。
そんなことを、母親の乳房にむしゃぶりつきながら魔王は考えていた。
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