マジックフレイム そのⅤ

 だが話は終わらない。俺は倒れている真沙子の体を揺すって、

「起きろよ。そして俺に教えろ! あの方って誰だ? 洗礼って何だ?」

 その時だ。


 真沙子の頭から、白い球体が出てきた。その球体は天高く上がると、爆弾の如く弾け飛んだ。


「うお!」

 俺は尻餅をついた。これは何だ?

「うう、ん…」

 起き上がる真沙子に、俺は問いかけた。

「何だ今のは?」

「今の?」

「とぼけても無意味だぜ。俺は今見た。お前の頭から、何かが抜けるのをな!」

 しかし、真沙子が嘘を言っているようには見えない。

「わたしは超能力者で、パイロキネシスが優れていて。それだけ、よ? それに粒磨は何でここに、いるの? わたしどうしてずぶ濡れ、なの?」

 俺は事情をゆりかごから墓場まで説明した。しかし帰って来た返事は、

「そう、なの? わたしには全然記憶がないん、だけど…」

 真沙子の頭から抜け出た白い球体は、真沙子の記憶なのか?

 確信が持てない俺だったが、何もわからなかったので今日は引き下がるしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る