マジックフレイム そのⅢ

 真沙子に最初に追いつかれた時に俺の超能力を披露してやったよ。

「な、何コレ?」

 俺が超能力者であることは何故か知っていたが、水を操るところまでは知らなかったみたいで、驚いていた。

 水の弾丸は、真沙子の足をかすめる…はずだった。

「何?」

 今度は俺が驚かされた。真沙子は一瞬で炎を起こして壁を作ると、俺の弾丸が消えた。

「ふうぅ、びっくりしたわ。でももう、何ともない、わね?」

 俺は夢中でトリガーを引きまくった。その時は水鉄砲を両手に構えていたからな。だが炎を水が貫くことはなかった。

「俺の水が、効いてない?」

 俺はその時、その疑問に答えられなかった。

「あなたの水? 意味ない、わね。だって考えてみなさいよ。わたしの炎は軽く千度を越えている。でもあなたの水は…。百度で蒸発しちゃう、じゃない?」

 それを聞いた俺は、左手の水鉄砲を投げつけて逃げた。落下する音も、ぶつかる音もしなかったので、容器ごと気化したのかもな…。

 真沙子は炎だけじゃなく、周囲の温度にも気を配っていた。もしかすると、炎があれば周りの空気を熱することである程度は温度も操れる?

 だとすると、俺の行動は正しかったわけだ。面と向かって水を発射しても、百度以上の火炎で蒸発させられて終わり。少しも消火できない、というか炎に触れることすら叶わないんだろう。なら不意打ちしかない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る