169:「王者か?」(ちょっとだけ、余談)
ところで、今回はちょっとだけ寄り道します。
私から見ていると、輝かしいスタートだった後輩くんの大学生活。しかし当時の彼は、あじつはサークルで無言で立ち上がり帰宅する、他者といっしょに帰りたがらない、などだいぶアレなところがあったらしいですが――。
「王者か?」
聞けば聞くほど、当時の彼にはそういうところがありますね。はい。おもしろいです。いまの私が聞いても、思い出しても、そう思いますし。彼の友人もそう思うらしいです。そして彼自身が思い返してもそうらしいという……なんてことだ……。
なにがそんな王者か、っていうとまあ、まず無言で立ち上がって帰宅してしまうとか他者といっしょに帰りたがらないって時点で、というのもそうなんですけれどもね。
「なんか偉そう」だったんですよ。
いえ、私は、私はですね、私はまったく気にしてなかったんですけれども。彼はその時期も私に対してはいちおう後輩としての礼儀をもっておりましたので……。
このへんについては彼の友人のほうがよっぽど詳しいので、聞いたところによると、なのですが。
いままで述べてきたこと以外にも、こう、当たり前のように足を組んで腕を組んでいたり。写真に写るときにやたらと顎の角度が王者の風格(?)っぽかったり。返事や態度が、ともかくこう、「王者か?」って感じだったらしいですね……とくに彼の当時の身近なまわりのひとたちからすると……。
このあいだ、彼もなんか知りませんけれどぽつりと言っていましたねそういえばこんなようなことを。
「なぜ大学のときの俺はあんなに偉そうだったんだろうと思う」
言われてみれば……と当時の写真、私と写ってるのはつきあいはじめてからですが、まあその当時の写真を見るとですね。たしかに、偉そう。王者みたいな雰囲気がある。なぜだ。ほんとうだ。
学生証ひとつとってもなんか、いまと違う。
だから、私はこう返したような気がします。
「なんでだろうねえ……王さまだったよねえ、きみ……」
どっちも、もちろん、彼ですが。
いまはまた雰囲気がぜんぜん違うのですよね。彼らしい、ということはおんなじなんですけれども。なんでなんでしょう。あれが若気の至りとか、若いって鋭いよねみたいなことなのでしょうか! たしかに、鋭い感じはしました……いまも根底はアレなところがありますけど彼、なんというか、当時はなにかが剥き出しで、鋭くて、うん、とかく、なんか一部が異常にざらついていて、剥き出しの感じがあったんですよ。
若いって、そういうことかなあ……と当時の「王者みたいな」彼を思い返すと、思います。いやいまも突き詰めればそういうところはあるんですけどもね! あの当時は、突き詰めなくてもそんな感じがめっちゃ出てましたよねって! そういう話です!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます