156:ぐじゃぐじゃ、していましたね。
いまだにあまり認めたくはないですが、私は彼以外にも恋まがいの経験をいくつか、あるいはいくつもしましたし、それはいま振り返ればあきらかになにもかも真実ではなくまがいものでしかなかったのですけれど、でも私のそれにはまがいものでもなんだろうとあきらかに相手がいたのです、存在していたから関係性というものが成り立っているのです。
後輩くんもそれを知らないわけじゃありませんでした。私は彼にはそのことを言っていませんでした。けれど、彼が知らなかったとは思えません。それは私のツイートの様子や、ふとした雑談から、あきらかにわかるものだったのでしょう。
いまにして思えば彼はそのことにあのときはっきり言及してくれたのです。「先輩には、お相手さんがいるんだから、だめですよ。だめです」というようなことを、彼は、繰り返してくれました。
年下なのに。
後輩なのに。
そしてまだ、大学さえも知らないのに。
私は数日で二十歳になって成人して、彼はそれでまだ十八歳だというのに――。
先立って大人になってしまった、という想いが私は大きかったです。
それは、けっして健全な感情でもなく、背伸びでもたぶんなくて、……どこか薄汚れてしまった、という絶望感が、いちばん、強かったように思えます。……二十歳の誕生日をそれこそ一週間もしない数日後に控えたあのときのほんとうにどうしようもない、私は。
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