118:そうやって、彼との交流はなぜか細々と続き。
そんななかでも、後輩くんとの交流はなぜか細々と続いていました。
ええ、ほんとうに、なぜか、としか言いようがない感じの、続きかたでした。
そして細々というのもまさしくそうで、高校の二年間では顔を合わせるという意味ではなんだかんだ週に何度も、場合によってはほぼ毎日あいさつ程度は交わしていた関係性だったのが、たしか私が大学一年で彼が高校三年のこの年は、季節がいちど変わるごとにいちど会う、くらいな頻度だった記憶があります。
たしか会うたびに定期テストの話やらをしていて、毎回前回の期末が過ぎ去っていたような記憶がありましたから。
私はもちろん自分にとってのまったき後輩にもあたる彼の彼女さんのことをいつも気にかけていましたが、聞いたところによると彼は毎回彼女さんに「菜月先輩と会う」と言ってくれているようで、そして彼女も快諾してくれているようで、そのことにまずなによりも胸を撫で下ろしていました。
私が最初思い込んでいたよりよっぽどほんとうは芯の強かったひと、なのかもしれない後輩ちゃん、ですが、私にとってはどうしても保健室での出会い、繊細そうなイメージも離れませんでした。
私が彼と会うことによって、なにかちょっとでも不快な思いをしていたりとか、あるいはなにか裏切られた感などを、自分よりまだよっぽど若い相手が感じていないか――そうではない、という前提があったので、私は安心して彼に会えていたんだと思います。
そして、そのことは、一見後輩たちを思いやっているようで――私自身のぐつぐつする後輩くんへの想いをごまかしてくれることにも、……いま思い返せばそうとうひと役買っていてくれた気が、するのです。
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