82:人格形成の場を隣で見ていたすごさよ。
のちに、彼は語ります。
「俺の人格形成は高校でなされたと思う」
「高校の、どのくらいの時期?」
私が問うと、
「まあ、高二くらいかな」
と、彼は答えます。そうでしょう、そうだと思います、なぜならそれは私も隣で間近で――見ていたからです。
普通であれば、おとなになってからは今後タイムマシンでも発明されなければ見られない、若いころのいわゆる人格形成という場を――私は、見てしまっているからです。それこそこっちも高校生で、向こうも高校生だったとき。おなじ学園で。けっこう近しい位置で。でも、どっかすこしすれ違った場所で――学年も当然クラスも違うし、メインにしている部活や活動も違った、そんななかで。
「俺のおもしろいところというか、おもしろがられるところというか。そういうのを持て余していたのが中学くらいまでだったんだけど、高校に入って演劇とかはじめて、だんだんそういうのを言うようになってきたよね」
だから、大学でも、そういうのを充分に発揮できた――ということでした。
持て余していたものの、やりどころというか、本人なりの落としどころが見つかってきた。
たしかに、たしかに。すごく、わかります。ちょうどこの時期から彼はずいぶんおもしろがられるようになっていましたし――。
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