41:「私がいなけりゃ、文芸部は成り立たない」その4
文芸部には毎年、校舎の隅っこのほうの教室がいっこブースとして与えられた。
私たちはそこで部誌を配布する。毎年、というよりは――私が高一のとき、部誌というものがなかった文芸部に部誌をつくろうということで、学校としての部誌を創刊したのだった。
文化祭準備の日、私は当時はロングで校則でおさげにしていた髪を揺らしながら、
おそらくは切羽詰まった様子でわざとほどいて、わざとらしく結びなおしながら「みんな」に言った。
「印刷、まだ終わらないって。ああ、私クラスのほう顔出さなきゃだから、だれか先生から印刷ぶん受け取れる?
印刷機がイラ漫と被っていて順番が遅れた。私は去年も経験あるからわかるけど、やっぱ50部じゃ足りないみたいだわ、経験上100部は刷けるから。追加で当日も50は配布したいから、いまさっきついでに印刷機予約しといたから。
先生も生徒会担当で、なかなかつかまらないし、だれか」
「みんな」は生返事だ。
なんだか妙に男女比的に男子の多い文芸部。
文芸をやりたいというよりは、文芸部の荷物置き場でモンハンをしたい男子のたまり場にもなっていた。
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