38:「私がいなけりゃ、文芸部は成り立たない」その1

 高校二年生の秋、文化祭準備の真っ最中。

 文芸部の部長をつとめていた私は、あれやこれやとうきうきしながら楽しく――ではなく、

 わりとかなり苛々しながら、教室準備と部誌の印刷作業を進めていた。


「私がいなけりゃ、文芸部は成り立たない」――そんな思いに駆られて、心を削りながら準備を進めていた。


 文化祭当日に配布するために、宣伝ペーパーを書いて、じっさい文化祭の二日間で数百枚配りに配りまくった。

 書いたこちらとしては、とにかく文字を扱う文芸部らしく文字がぎっしりしていてくれればよいとか考えていた。だがのちに思ったように、宣伝効果は、きちんとたしかめないほうがよいかもなあといまだにそう思う「大作」である。そう、皮肉にしても笑っちゃう、……「大作」。

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