月光
試験管に満たされた濃密な夜の沈殿物だ
吐いた言葉は極細やかな泡になって
鯨の泳ぐ夜空に吸い込まれて消える
海水の沁みる痛みを甘噛みして
自嘲気味に嗤うだけ
鼓膜を転がる波長に鼓動を重ねて
遥か遠く水面に浮かぶ星屑を辿る
月光の淡い温もりに溶け出す薄氷の水滴が
傷口に沁みる優しさに甘んじて
静かな夜に沈むだけ
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