第9話 薄れる意識

蒸し返したくない話がある

ていう言葉はよく耳にしてきた


ああ

蒸し返したくないてもしかして、そのことを思い出すのも口にすることも嫌なこと

なのかな


無かったことに

もよく聞く言葉だけど、無かったことにできないこともあるよ


蒸し返されて初めて、胸とのどにいがいがの苦いかたまりを感じた

渋い、顔をしてしまったかもしれない


そして、昨日の今日、私は全身の力、心の力も失ってただ倒れていたの


外だったら雨に打たれていたかもしれない


こんなにも苦しみは癒えていないと真上を向きながらつぶやく力もなかった


ぱっかりと開いた傷口はそのままだったのだ


私はそっと目を閉じて力を抜くの


いつか意識が薄れますように、て

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