第8話 もう1人の僕

   僕の心にはもう1人の僕が生きている

   孤独で寂しがりやの僕からひと時も離れず生きている


   楽しい時はともに笑い 哀しい時はともに泣く


   もう1人の僕は優しく語りかけてくれる

   今を生きている奇跡を教えてくれたね


   僕が自殺しようと決めた時も止めてくれた

  「あなたが死ねばわたしも死ぬ」の言葉は忘れない


  

   もう1人の僕は教えてくれた


   大切なのは生きること 生きる事を楽しむこと

   他人に優しさを配ること 寿命をまっとうする事


   そして自分を愛すること


   もう1人の僕だけが僕の心の痛みを知っている

   もう1人の僕だけが僕の孤独の闇を知っている


   やがて訪れる死に乾杯




*~*~*




 僕が初めて自殺を試みたのは、小学生の時でした。


 多摩川にかかる橋の上から飛び降りようとしたのです。しかし未遂で終わりました。真冬のとても寒い夜でした。家に帰ると親父が探していておもいきり殴られました。


 この頃からです。もう1人の僕と遊ぶようになったのは。心が病んでいたのでしょう。


 僕の妄想癖です。


 幻聴や幻覚と似ていると思います。今まで生きてこれたのは、もう1人の僕の存在があったからです。


 寂しさや孤独感が頂点を越え、狂ったのでしょう。


 もう1人の僕は語ります。死ぬのはいつでもできると。でも生きる事は1度きりだよと。


 転生とか輪廻とか、僕は信じません。人間は死ねば無になり消えるだけです。


 だから今を大切に生きようと思うのです。


 あなたももう1人の自分と向き合いませんか?必ず幸せを感じるきっかけが出来ますから。


 僕は今日も自殺願望が消える日を待ち望んでいるのです。

   

   

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