第2話 私の秘密

 私の名前は相沢凛(あいざわりん)。


 勉強・スポーツ成績優秀な生徒が集まる、超有名な高嶺美(たかねび)学園に入学したばかりの高校1年生。

身長160cm、体重48kg。スラッと伸びた脚、しっかりと育った胸。ストレートで胸あたりまである透き通ったサラサラの髪の毛に、キラキラした瞳。小さい顔で細身なモデル体型なので、街中を歩くとスカウトされること多々あり。でも、全く自分には興味ないので、もちろんきっぱり断りを入れる。


 学校ではあまり目立たず高校生活を送りたかったけど、入学早々、全校生徒と保護者と先生の前で新入生代表の挨拶を。学年で入学前テストでの成績が1番だったようで、選ばれてしまった。私が舞台に上がると、周りから歓声が上がった。


「わぁー」

「なんて綺麗なの!」

「あんなに容姿端麗な子が成績も良いなんて」

「か、かわいい、まるで天使のようだ!」

「スタイル良すぎる!モデルしてそう」


 私はそんな言葉全く耳に入ってこない。頭の中では違うことを考えていたから。


−−−早く帰りたい。この挨拶さっさと終わらせよう!


「暖かな春の訪れとともに、私たちは高嶺美学園の入学式を迎えることとなりました。本日はこのような立派な入学式を行っていただき大変感謝しています……」


 その日から、全校生徒や先生からも一目置かれる存在となってしまったのだ。


……


 私は容姿端麗すぎて、近寄り難い存在と思われているらしい。特に近寄るなオーラとかを出していないし、話しかけられたら全然話すのに、誰も話しかけてこない。常に一人。でも今はそれが私にとって心地がいい。そっとしておいてくれると、自分の時間ができるから。自然とボッチとなったのがありがたい。ボッチ最高!

 だって、学校の休み時間は本を読んでいたいから。周りからは、難しい本や小説を読んでいると思われていて、感心されている。本当は、ラノベのラブコメを真剣に読んでいるのに。誰にもバレないように、本にはブックカバーを。

 面白くて一人でクスっと思わず笑ってしまう時があるが、そんな姿が美しく微笑んで見えるようで、それを見ていた生徒はその美しい微笑みにうっとり目がハートになっていた。それにも気づかず、黙々と読んでいた。


 そんな私は、ラノベが大好き!!ということではなく、ラノベ作家を目指しているのではなく、勧められて読んでいると言うわけでもなく、実を言うと、こんな理由からラノベを読んでいる。それはズバリ、ラノベで恋愛を研究しているからである。

 最近ハマっているゲームで『可愛いあの子はあなたの恋人』という、男性向けの恋愛ゲームにハマっていて、その中の推しメンを落とすために勉強をしているから。これはネトゲで、ネトゲ開発サイトの試作ゲームで見つけた萌え恋愛ゲーム。

 恋愛したことない、好きな人ができたことがない私は、学校ではラノベを真剣に読み、攻略の勉強に勤しんでいるのです。家に帰ると、出てくる女の子キャラクターが可愛すぎて、興奮しながら実践に明け暮れる毎日。


 帰ってパソコンを開くと可愛い声で迎えてくれる。もう可愛すぎて「萌えーー!!どへーー!」となる。悶絶!気絶寸前!この世にこんなに可愛い子がいるなんて。私にも興味持てる子ができるなんて。

 私はいわゆる、オタクや喪女とも言われる分類に属する女子高生。(対象がちょっと違う気がするけど)

 今はその中で一番の推しメン、『カレンちゃん』を恋人にするために試行錯誤する日々。


 今日も会えると思うと、毎日自然と微笑んでしまうのです。


 これは、誰にも言えない、知られたくない私の秘密。

 

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