私・俺だって××に萌えたい!

新山夏花

第1話 美人で成績優秀な女子高生の謎。

キーンコーンカーンコーン・・・



 下校のチャイムが鳴った。


 それと同時に、一人の女子がすぐさま席を立ち上がり、自分のカバンを持って、綺麗な腰まである長いストレートの髪の毛を揺らしながら、スタスタと教室を出て行った。


 その姿を見るクラスメイトは、ため息が出た。


「私もあんなに美人でスタイル良くて、成績良かったらなぁー」

「ほんとそれ!ところで毎日急いで帰るけど、なんでだろう。」

「それね、前に違うクラスの子が話しているのを聞いたんだけど、有名塾に通ってるからみたい。普通に考えて、そうじゃなきゃこのレベル高い高校で1位なんて取れないよね!」

「確かに!有名塾かー。さすがだね。私は無縁だわ。」

「私も。」

 はぁー。


 二人の女子生徒は、帰る支度をしながら、さらにため息をついた。


「あともう一つ噂があって、年上の彼氏がいて、高級な車で迎えにきて、毎日デートしてるって。これもあり得そうだよね。」

「あんな美人なら普通にありそう!」


「羨ましー」

 二人は声を合わせて言った。




・・・スタスタスタスタ

(あぁ、急いで家に帰らなきゃ!私のことを××が待ってるから。早く、早く会いたいよー。)


 身長164cmでスラッとした長い脚を大股気味で、足早に校門へと向かった。

「さようなら。」

 校門に立つ生徒指導の先生へ会釈し、挨拶をした。


「お、おぉ!、気をつけて帰れよ」

 透き通った大きい瞳、美しい笑顔、優しい声で言われ、いつも厳しい顔をしている先生の心が躍り、顔が緩んだ。

 周りにいた生徒達も、性別関係なく、ドキーンっと胸が鳴った。


(なんて美しいんだ。女神みたいだ!!)と。



 そんなことも知らず、その女子はスタスタと家に向かって、早足で歩き続けた。


 彼女はもうすぐ××に会えると思うと、すごくドキドキして、恋をしている顔になった。



−−−もうすぐ、もうすぐ、あと少しで会えるから・・・



ハァハァハァハァ。



家までペースを落とさず歩いたので、息が切れた。


(やっと、やっとついた!)


家の玄関のドアを思い切り開けて、すぐに、声をあげた。

「ただいまー。ママ、今から真剣に勉強するから、部屋に入ってこないでね。集中力が途切れちゃうから。」


息切れしながら、玄関から扉を挟んだリビングにいる母親に大きい声で伝えた。

「はいはーい!勉強頑張ってねー」

その言葉を聞いて、安心して2階にある自分の部屋へと向かった 。


早く、早く、、、


ドタドタと階段を上がった。

2階に上がった一番奥の部屋。


 

歩くスピードは落とさず、自分の部屋へと入って行った。


部屋に入った瞬間、制服と靴下を全て脱ぎ捨て、上下グレーの毛玉がいっぱいついたジャージへと着替えた。

コンタクトを外して分厚いレンズの黒縁眼鏡をかけ、長い綺麗な髪の毛を上の方に団子巻きにし、勉強机に置いてあったノートパソコンを手に取り、ベッドへ移動した。


「やっと、やっと会える・・・」

ニヤニヤしながら、ノートパソコンを開き、電源ボタンを入れる。


ピロローン♪


電源がつくと、即座に、”ヒーロー”という名前のアプリを開いた。


可愛い音楽が鳴る。

と同時に、可愛い声が聞こえた。



『やっと会えたね、凛くん!』


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