女の子のピーターパン
勝利だギューちゃん
第1話
夜、寝つけないので、外の空気を吸おうと思い、
ベランダに出た。
風が、とても心地いい。
疲れが癒される。
そろそろ、部屋に戻ろうとした時、
空か、1人の女の子がやってきた。
「やあ、こんばんは」
「こんばんは」
僕は思わず、挨拶をしてしまった。
「ところで、君はだれ?」
「私?君たちの世界で言えば、ピーターパンにあたるわね」
僕は驚いた。
「ピーターパンって、男じゃないの?」
「細かい事は気にしないの」
ピーターパンと名乗る少女は、怒る。
でも、とてもかわいい。
「ねえ、私と行かない?ネバーランドへ」
「遠慮しておく」
「どうして?」
少女は不満そうだ。
「だって、ネバーランドでは、大人になる前の殺されるんでしょ?」
「それは大丈夫だよ」
「どうして?」
「だって君は、もう17歳でしょ?私たちの世界では、大人だよ」
「そっか・・・」
僕は、迷った挙句ひとつの結論を出た。
「やっぱりやめておくよ」
「どうして?魅力ない?」
「良くも悪くも、戻れなくなると困るし、それに・・・」
「それに?」
僕は間を置いて、答えた。
「この世界で叶えたい夢がある」
そういうと少女は、笑った。
「君なら、そういうと思ったわ」
「ありがとう」
すると少女は、ふところから笛を取りだした。
「犬笛?」
「うん、この音色は私にしか聴こえないわ」
「これをどうして僕に?」
「もし気が変わったら、いつでも吹いてね。すぐに飛んでくるから」
すると少女は、僕の頬にキスをして、去っていった。
それから、数十年後、僕もすっかりおじいさんになった。
まがりなりにも、夢を叶える事ができた。
もう、死期が迫ったある日、僕はあの笛を思い出した。
お守り代わりに持ち歩いていた。
「試しに吹いてみるか」
僕は吹いてみた。
「やあ、元気そうだね?というのも変かな」
「君は、かわらないね」
「君はすっかり、おじいさんだね」
「まあね」
会っていた時間は短いのに、とても懐かしく感じた。
「どうする?行く?私たちの世界へ」
「うん」
「じゃあ、行こう」
少女の差しだされた手を握った。
とても、やわらかく温かい。
今僕は、少女の世界のネバーランドで暮らしている。
他にも仲間がたくさんいる。
下界では騒がれているようだが、僕はどうでもよかった。
女の子のピーターパン 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます