「レディー・キラーカクテル」
都内某所、高層ビルの53階にそのバーはある。他愛のない会話、洒落た雰囲気、暖色の柔らかな光が窓から除く東京の夜景を引き立てる。それはさながら地上に降りた第二の夜空と形容すべき華やかさと美しさに満ちていた。
ふと、客の一人が店員を呼んだ。店員はここに来てから日が浅く、未だに覚束ない様子で注文を取ろうとした。客はどうやら「女性でも飲みやすく度数の高いカクテル」を所望の様だ。だが、彼はどうも様子がおかしい。どこか怯えている様に見えた。しかも彼と共に店内に入ったはずの女性が居たのだが、お花を摘みに行っているのだろうか、席を外しているのだ。不審に思った店員は一旦マスターへと相談することに決めたのだった。
バーカウンターに居たマスターは店員の相談を受け、そのテーブル席の方へちらりと目をやった。するとふふっと小さく笑い、すぐに薄目のカルーアミルクを作り、トレーへと乗せた。店員は困惑し、マスターを問いただすも何も答えない。店員は仕方なくそれを彼のテーブルへと運んだ。
彼はそれが運ばれるなり、なんとそれをその場でそれを飲み干してしまった。程なくして女性が席へと戻ると、姿勢を正し改まった格好でなにかを話し始めようとした。だが、先程のカルーアミルクがすぐに回ってしまったのか直ぐにテーブルへと伏してしまった。
それを見た彼女は慌てた様子でマスターを呼ぶと、マスターはまるでそれを予期していたかのように直ぐに別室に通した。
マスターが語るに、彼は自分の気持ちを後押しするためにカクテルの力を借りようとしたのだと言う。おどおどした様子は告白への不安の表れ、抽象的な注文はバーにあまり親しんでないことを表していたという。だがそれは彼女も同じであったと言う。頻繁に離席していたのがその証拠らしい。彼らは程なくしてお互いの気持ちに気付くだろうと断言したのだった。
一時間後。初々しく恥ずかしそうに手を繋ぎながらバーを後にする彼らを見て、店員はマスターの予想が事実であったことを即座に理解した。それと同時に自らの偏見を恥じた。彼が一人前のバーテンダーとなるには、まだまだ時間が必要なようだ。
2019/03
所感
ネタが降りてきてから1時間足らずで執筆したので多分後々見返したら粗が大量にみつかりそう
あとテーマがちょっとブレてる感じがある、カップルに重きを置きたかったのに最後の一言でバーテンダーに焦点を合わせてしまったのはアカンかったかも?
それからバーには一切行ったことが無い(まだ成年してから1日も経ってない)ので適当こいてる箇所が多々ありそう
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