第4話 アーニャとガブリエル合流
月の裏側を見たことはあるだろうか?
地上からだと月は常に同じ面を向いていて、ロケットで
綺麗な表と違い、裏はクレーターでデコボコしている
地球を守るための盾になった結果で、その見た目は酷い
そんなことを思い出したのは、抱き着いたエイルを剥がして外の風景を見たからだ
ここの風景も砂漠情緒あふれるいい景色だっただろう
小惑星がそのまま地上に激突したら氷河期が訪れる
それを防ぐために隕石を減速させ、衝突前に自爆した
予想はされてた
されてたけれど、実際に見てみると悲惨さがよく分かる
何もない
クレーターでデコボコしているが、基地の残骸しかない
人工の建造物は、目で見える範囲だと何もない
「どうしたの?」
エイルはここに何があったか知らないけど、私は知ってる
ここには町規模の基地があった
軍人の為に、家や、娯楽施設、ショッピングセンターなどが在った
それを一瞬のうちにゴミの山に変えてしまう私達の
「何だか顔が青いよ?」
また抱きしめるエイル
「大丈夫、大丈夫だから落ち着いて」
エイルは分かっているのだろうか?
この光景こそ、私達の未来に起こる出来事だということに……
きっと、本当の意味では解っていないだろう
私も人殺しに手を染め、この光景を見た後だから実感として分かる
事実上、私達は中国政府に宣戦布告した
目の前の光景は私達が受ける可能性もある
隕石の破片が当たり、中身が潰れてる
潰れてる中身がエイルになる幻視が見えた
ありえない、気持ち悪い
こちらを見ている気がする
気のせい、気持ち悪い
「気持ち悪い……」
エイルが慌てて横に回り背中を擦ってくれる
細かい描写は避けるけど、だいぶ楽になった
「大丈夫?
この風景を見てたら気が滅入るし、別の場所行こうか」
それは賛成だ
だけど、私の
「格納庫に行かない……と?」
格納庫が在った場所を見ると瓦礫の山になってる
「どうしよう?」
「Should look for that.(それは捜すべき)」
上から声が聞こえたので見上げてみると、パラシュートで降りてくる2機の
私達の前に降りようとしていた
「その声はガブリエル?」
「Yes.(そうよ)」
ガブリエルの機体は赤に近いオレンジと白の二色
「エイルはよく無事だったね」
もう1機の機体は、砂漠に場違いな濃い緑の密林迷彩をしている
「もう1機はアーニャ?」
「当たり」
彼女の名前はアーニャ・コリンズ
茶髪緑眼の白人女性で、後ろ髪半分まとめてポニーテールにしている
性格は何というか…、武人みたいな己に厳しく相手にも厳しい性格
2機の
ガブリエルにパラシュートの回収と、コンテナの中身を出すことを命令して此方に来た
「エイル、何で独断専行した?」
そこから暫くアーニャの説教が始まりそうだったので、逃げるようにカブリエルの手伝いを始める
「………たす……かる?」
「Good.(いいね)あってるよ」
パラシュートは砂塗れだけど急ぐので適当にまとめ、コンテナを開けると護衛ロボットが出て来た
こいつのおかげで拷問っぽいことをされることになった
でも今は味方として人不足を補う重要な味方だ
きっと今の私は複雑な顔をしてることだろう
コンテナの中身を開けたので、説教は止めたのかエイルとアーニャがこちらに来る
エイルはハッチを閉めたので、外部スピーカーが壊れてる今は喋れない
「そういえば、二人の機体は大丈夫なの?」
私やエイルの時みたいに、地上に来た衝撃などで機体の何処かが壊れてる可能性がある
「大丈夫、問題ない」
「………問題ない、OK(大丈夫)」
エイルは親指を上に立てて大丈夫と言ってる
私達の護衛ロボットは全部で34機居た
「これだけ居れば、輝月の上半身も直ぐ見つかるだろ!」
「分解されてるから無理かも」
そういえば通信してない間、私がどうなってたか伝えてなかった
「分解されてるなら仕方ないな、次は安全な場所に隠れたいが、いい場所知らないか?」
この辺は瓦礫の山で隠れられないことは無いが、安全とは言えない
恐らく直ぐに軍隊が災害復興に来るだろうし、戦闘するには味方の数が少ない
まずは味方(護衛ロボット)の数を増やすための拠点が必要
そこでいい場所を思い出す
私にとっては始まりの場所で、中国軍には敗北した忌まわしき場所
「私が最初に着陸した場所とかどう?」
「何もな……、そうか確かテロ組織が使ってた旧軍事施設があったんだっけ」
「そこならまだ日が経ってないから保存してた食糧は残ってると思う」
そこまで話してエイルがハッチを開けて止める
「スクルドはどうするの!?」
なんでも4人で地球降下してきたが、途中の迎撃でスクルドの居た場所だけ崩れて離れ離れになってしまったと言う
「位置がわかんのだ、伝言を残すぐらいしか出来ないな」
「そんな……」
エイルだけ先に着陸してたのはスクルドを追いかけて着陸を急いだからだ
その御陰で着陸した場所だけは特定できたが、追い付けないと判断しアーニャとガブリエルが来る場所に戻ってきたという
「場所がホータン市なら離れすぎてて合流は危険だな」
スクルドと合流は諦め、私達は最初の着陸地点を目指す
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