第31話 輝月と別れ
輝月の買い物から戻ると何故か中国軍と、それを率いてる
「輝月、できるなら車に隠れてろ」
輝月はジープの後部座席(窓に黒いスモークが貼ってある)に乗ってるから運が良ければ気づかれないだろう
「伍長はすまんがデートと言うことにしてくれ」
助手席の奈菜伍長は、嫌な顔を全面に出したが文句は言わなかった
ジープは【ロプノール】の近くに停めると、
俺と奈菜伍長は顔を見合わせた後、一緒に降りて後部座席の扉を隠す様に敬礼する
首を傾げてると
「こちらは我が軍の
『お前たちと一緒に宇宙人が居るのはわかってる。
直ぐに出せ、出して悪魔の詳細を吐け!!』
と大佐は言っておられる。」
多分、雰囲気から内容を推測すると、罵倒らしき言葉を排除して翻訳してくれたみたいだ
翻訳してくれた中尉は苦労しているのか、疲れた顔をしている
「
俺の言葉を翻訳して
それを止めると、また中国語で喚いたと思ったら腰の銃を取り出し俺に向けて、ジェスチャーで退けと伝えてきた
「少佐、
おいおい、名前まで喋ったら言い訳できないじゃないか!!
一触即発な空気を感じ取ったのか、そもそも声が聞こえてたのか後部座席から輝月が出て来た
「こんにちは、
敢えて日本語で話すけど、私がお探しの宇宙人の
私に何か用ですか?」
輝月を確認すると
俺は咄嗟に輝月を庇おうとするが
「少佐、彼等の邪魔をするな!!」
司令官として
俺は、悲しいかな「上官の命令は絶対」と言う軍隊の基本が身に染みてたので、命令に硬直し判断に迷ってる間に俺も取り押さえられてしまう
「
私の部下は離してくれないか?」
「それは出来ない。
彼は我々を妨害しようとした。
彼女を完全に確保し終わるまで動かないで貰う」
なんでも、俺達が戦闘した場所に悪魔のような人型ロボットが居て、自分たちはそれに敗北した
その時に
現在の最高階級である
彼女の尋問をするため酷いことはしない
我々は未知の兵器である、人型ロボットを「砂漠の悪魔」と仮称し、作った或いは運んだ可能性のある
「
「まだ聞いていないのか?
今日の午前中に通信途絶してた月面基地から連絡が入り、隕石となって降りた場所には私の娘が居る。
隕石と共に
彼女は国際宇宙連合軍の主力であり交渉者でもある。
私達は彼女を通じて地球人類が再び
忠告を無視し彼女に危害を加えることは許さない。
良い交渉相手を望む
なんて一方的に言ってきたヤツが居たんだ。
それで彼女を存在を知って確保しに来たって話だ」
輝月の父親は何ていうことを喋ってるんだー!!
そんな話をすれば中国が確保に動くのは当たり前じゃないか!!
「すまんな少佐、それに輝月君。
私も勝てない相手に無策で無謀な戦いはできないんだ」
【ロプノール】の周辺を見れば中国軍に完全に包囲されてる
輝月の護衛ロボットに敗北したらしいが、一個師団も居れば敗北したとしても俺達の部隊より何倍も多い
今争えば確実に負けて彼女は連れ去られる
居ないと
「そんなに心配しなくても多分、大丈夫ですよ」
輝月は特に抵抗していないので、俺のように地面に押さえつけられることも無く、後ろで手錠を掛けられる程度で済んでいる
俺の方を見ていた輝月は
「司令官、私の
「まだ解析してないのだが、渡さないとダメかね?」
「まだ、解析を一回もしてないのに、約束を反故にしてしまって申し訳ありません。
常に月と連絡が取れるように、私の近くに無いとダメなんです」
「約束は気にしなくていい。
私達も君を保護しきれなかったのだからね」
次に奈菜伍長に顔を向ける
「奈菜さんも私に良くしてくれて、ありがとう」
「………何だか嫌な挨拶ね。
自由になったら顔を見せなさいよ」
奈菜伍長は少し涙目になってる
最後に俺の方に顔を向けてくれた
「神谷少佐、私を発見、保護してくれてありがとうございました。
最初の出会いは衝撃的でしたが、私、神谷に会えて……、嬉しかったよ」
「本当に嫌な挨拶だな。
面会ぐらい出来るだろうから、その時に会えるだろ」
「うん……、そうだね。
みなさん、短い間でしたがありがとうございました」
そう言って彼女は中国軍に連行されていった
なんだか今生の別れみたいな挨拶をしていたが、一人寂しく連行されただけで大げさすぎると思ってたが、アレを見てそれは大げさでもなかったと思い知らされた
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