第32話 セカンドオペレーション始動
※今回のセリフは日本語で書いてますが全て英語で喋ってます
私という者は、どうも運が悪いらしい
そう思う切っ掛けは最初のオペレーション・メテオの降下時のことだろうか
降下時に迎撃されて、降下ポイントがランダムになると説明されてた
海七割、陸三割、この面積比率で考えるなら海に降下するはずだ
それなのに降下した場所は、最悪の降下ポイントと言われた砂漠
さらに最悪なのは、そこが戦場ということだった
地球の面積比率で考えれば、これらの場所に降下する確率はかなり低い
しかも最悪の降下場所と予想された、砂漠と戦場がセットで付いてくるオマケつきだ
どう考えても運の悪い降下ポイントだ
でも悪運は良いらしく
降下ポイントで戦闘してた国際連合の日本軍に保護され、食事は出るし
これは戦場で拾った
司令官が状況を判断する能力が優れてたのか可能な限り保護しようとしてくれた
最悪の場所で最良の相手に会うなんて悪運が良いと言えるのではないか?
それが私の感想だ
その保護された状況が変わったのは、降下ポイントで回収できなかった物に中国軍が敗北してしまったことから始まる
彼等が撤退中に私のことを知り、日本軍を脅すような形で私を確保した
それから一週間、私は牢獄に閉じ込められている
それと言うのも中国軍の
捕らわれた最初の一日目は宇宙にある月基地と連絡が取れた
その連絡では私を遮るように父さんと交渉してたが決裂
「それなら『協力する』と言うまで我々は彼女を拘束し続ける!!」
とか
私の
「本当に私をずっと拘束して技術を盗むつもり?」
「根を上げるまで、まともに生活できると思わない方がいい」
と嫌な笑みを浮かべ言う
その言葉通り精神的な拷問生活が続くことになった
詳細は省くが、簡単に言うと裸にして眠れなくされた程度
そんなの私には全然通じない
宇宙に居た私を舐めてるとしか言えない温い精神拷問だった
私達、宇宙に居た者は光と音を遮断した状態で平然と出来て当たり前
宇宙ではプライバシーは無いに等しく、裸とかも見せてるし見せられてる
風邪を引かなければ問題ない
それでも一つだけ勘弁してほしいことがある
「あーあー、聞こえる~?」
現在は強烈で点滅する光を当てられ、黒板を引っ掻いたような音が流れ続けている
私の声が届いてるか不安だったが、直ぐに監視してる者から声が掛かる
「なんだ」
「聞こえなーい、もっと大きな声で喋って!!」
変な音を聞かせ続けられたから耳が馬鹿になってる
会話するのに不便だからコレは勘弁してほしい
「ついに観念したか!」
「そんな訳ないでしょ、月に連絡させろー!!」
ガチャという音と共に通信が切れて
続けるのはいいけど効果が無いって気づかないかな?
100年以上宇宙と隔離されてた状態だったとしても情報ぐらい残ってるだろうに、宇宙空間に置けるストレステストみたいな内容をやっても意味ないでしょ
それに気づかないまま一週間ぐらいずっと放置されるんだから困る
「耳が馬鹿になる」
その後、数時間たっただろうか?
点滅する光と異音が止まり
「どうだ協力する気になったか?」
聞こえないけど言いたいことは分る
「耳が馬鹿になってるの、まともに聞こえる様になるまで筆談でお願い」
牢獄には机が無く筆談に不便なので部屋を移される
その時に服を着ることを許された
「どうだ協力する気になったか?」
最初に言われたことをホワイトボードにデカデカと書いて見せる
私は筋力が元々無いうえに精神的な拷問で弱ってるから紙に書く
「条件しだい、重要だから聞くけど最後に通信してから何時間経過した?」
「何故、そんなことが重要なんだ?」
「説明すると長い、先に教えて」
ここで情報を出し渋ると思ったが意外にあっさり教えてくれた
「前も言っていたな、安心しろ今日で一週間だ」
懐柔されかかってると観て、余計な諍いはしないみたい
「それは168時間経過したってこと?」
「そこまで正確には知らん、どうなんだ?」
…………もう手遅れかもしれない
「あー、あー、あー」
左右の耳の前で音を立てたりして回復具合を確かめる
「ふぅ、ようやく耳が元に戻りつつあるわ。
それで大佐、173時間経ってるのが本当なら全てを話すわ」
筆談はここでやめて声で話す
「本当だとも。
おい、今日までの新聞を取って来い!」
部下が新聞を取りに行ってる間に現在の場所を教えて貰う
ここはケリヤ県の北部(ホータン市から北北東に約180km)にある基地らしい
周りはタクラマカン砂漠で実弾演習に丁度いい場所なんだとか
そこまで聞いて
「読めるか分からんが、これが一週間経過した証拠だ」
全部中国語で書かれて読めないが写真は分かる
隕石が落ちたことは新聞に載ってるはず
当時の日付を確認して、今日の日付を知る
「確かに一週間経ってるみたい。
私は全てを話すけど、今の内に逃げることをオススメするよ」
思いっきり黒い笑顔で進める
それが逆効果と分かっていても私は全てを話すと言ったし、忠告としては間違ってない
「ふん、脅しても無駄だ。 さっさと話せ!!」
拷問された仕返しだと思ったのか、特に気にした様子はない
「それなら全て話す。
私が
『オペレーション・メテオは、我々の武力を見せつける作戦』
世界中の迎撃ミサイルやレーザーを受けても迎撃しきれない巨大質量攻撃が可能と判らせるパフォーマンス
その武力を元に交渉し、宇宙進出できる技術を授けて私が月に帰るまでが作戦内容
それでも貴方のような馬鹿が現れて失敗した訳だけどね」
胸倉を掴み鬼の形相で睨みつけてくる
怒って言葉が中国語になってるので何言ってるか分からない
多分、私のことを罵倒してるのだろう
「続き…がある。 離し…て」
乱暴に離され尻餅をつく
ムカつくけど腹は立たない
「続きね。
オペレーション・メテオは失敗することも考えられてた
むしろ失敗しない確率の方が高いだろうと、次のオペレーションを用意してある
それが『オペレーション・ワルキューレ』
次のオペレーションが発動する条件は月面基地と一週間連絡が出来なくなること
一週間、私が月と連絡取りたがったのはコレがあったからだね」
次のオペレーション条件を聞いて顔色が悪くなる
いい気味だと思うけど、拷問っぽいことをされた私の気持ちは晴れない
「オペレーション・ワルキューレだけど私は詳しい話は聞いてないの。
私が知ってる内容は、次は世界中に予告放送を流したした後に『小惑星が落ちてくる』ってことだけ。
もしかして何となく察してるかもしれないけど、落ちてくる場所は
私は諦めてるけど、貴方達は早く逃げたほうがいいよ?」
最後が疑問形なのは逃げても逃げなくても良いと思ってるからだ
「ふん、黙って聞いてれば出鱈目を話しおって!!」
そこに
中国語で話してるから内容は分からないが私が関係するのかチラチラ見てくる
報告を聞き終えた
「これは終わったかな」
放置された私は部屋のドアを回すと普通に開いた
これは恐らく私の話が本当と気づいて慌てて逃げたのだろう
この日、小惑星が世界最悪の爆撃となってホータン地区ケリア県にある基地を跡形も無く消してしまう
オペレーション・ワルキューレ、それは輝月への援軍作戦であった
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