第28話 砂漠の悪魔(後編)
※今回は輝月視点ではありません。
会話は日本語で書いてますが中国語を喋ってます
我々はアラウィー戦線と名乗るテロ組織を殲滅するために、タクラマカン砂漠にある放棄された旧軍事施設まで来ていた
そこで目にした破壊された戦車に多数の死体
一日前に日本軍と戦闘したと聞いたが、これはその結果だろう
死体や戦車など置いといて、発見された軍事施設入り口を調べていると謎の人型ロボットと戦闘になる
最初に不意を突かれたことで被害はでたが、
最初の目的であるアラウィー戦線のメンバーは、何人か確認したが全体からすれば少ない
日本軍に聞いた話では一万を超える数が居る様で、彼等だけでは偵察が精一杯だったと言う話だった
一度戦った日本軍が与えた被害と我々がここに来てから確認したアラウィー戦線の数を足しても500人に満たない
一体、何が起こったのか
捕虜から聞きたいが恐慌状態で尋問をできるとは言えない
「
見つかってる入り口を何時でも一斉射撃できる様にしてると、中から戦車がゆっくりとこちらに向かってくる
敵の戦車は、
味方の戦車に任せるため、警戒を解いて射線を開けると逃がした人型ロボットが文字通り、弾丸の様な速さで
戦車に搭載した【アイギス】が迎撃するが分かってたように軌道を変えた
二度、三度とジグザグに軌道を変えたが【アイギス】の迎撃が上回り、ロボットの左ももに当てた
それは軌道が変わっただけで
ぶつかった
戦車の裏に隠れ様子を見ていたロボットが通路奥に逃げていく
「
動かない戦車に慎重に近づき
ハッチの上に
「誰も居ないだと? なら中に入って動いた原因を調べるぞ!」
今回の遠征で、99式戦車に詳しい人物を呼んでいる
履帯を戻し、他の戦車に牽引してもらって入り口から離れた後方に移す
念のために他の戦車乗りに99式戦車の中に危険は無いか確認して貰い、99式戦車に詳しい爺さんに調べてもらう
「すまんな爺さん、俺達じゃコレは古すぎて分かんないんだ」
「気にすんな、わしの安全さえ確保して貰えりゃ、テロ屋の殲滅ぐらい出来る範囲で手伝うさ」
爺さんは軍人ではなくウルムチ市(タクラマカン砂漠の北にある大都市)で
戦車博物館をやってる館長
今回無理を言ってついて来てもらった
「なにか分かりそうかー?」
2.3分もしない内に急かす兵士
「急くな、知ってる物と細部が違うんじゃ!
こりゃ、99式A2戦車じゃな」
「なんだそりゃ?」
「つまり99式の改良型じゃ。 少し時間が掛かるぞ」
戦車の上に居た兵士は、戦車が99式A2で時間が掛かることを伝令に伝える
そうして特に何も無いまま、20分ぐらい経っただろうか、調べてた戦車が突然何かを受信して動き出す
「うぉ、急にどうしたじいさん!」
「わしは動かしておらん。
勝手に動いた……、と言うより遠隔操作されとるぞ!」
爺さんは服を脱ぎ、自動装填される弾に服を挟むことで動作不良を起こした
「出るに出れん。 お主も中に入れ!」
強引に中に入れ、服を脱がす
彼が着てる服の下に来てたシャツは白い物だったので丁度良かった
こういうときの為にある棒に縛り付け、兵士に渡す
「お主はハッチに捕まってコレを振れ」
それは紛うことなき白旗だった
「ついでにコレも使え」
懐中電灯も渡される
つまり白旗で異常に気付いてもらい
懐中電灯でモールス信号を使って状況を知らせろと言うことだろう
「モールス信号はSOS(救難信号)ぐらい使えるじゃろ?」
人型ロボットの厄介なところは遠隔操作と簡単な心理戦が出来たことだ
あえて時間を置いたことで油断を誘ってから遠隔操作に移った
戦車の暴走は直ぐに抑えられたが、これは陽動で本当の目的は別にある
◇ ◇ ◇
ここは【ロプノールⅡ】の格納庫
破壊された人型ロボットは解析のために運ばれていた
「これが問題の人型ロボットですか、意外に壊れてないですね」
本命はこちら、死んだ振りをして運ばれてる間に分からない様に再生する
少し怪しんでも「機械は自力で直ったりしない」という常識に邪魔され疑われることは無い
相手は軍隊、もしくはそれに近い組織
それなら狙うは現場で命令を出す人物のトップ
敵の懐に入れば大型兵器は使えないし、対人兵器では致命傷を与えるには威力不足
つまり、ここには私を止められる者は居ない!!
「まずは外装を剥がさな…」
それが最後の言葉になる
不用意に近づいたメカニックと思わしき人物の首を回して殺す
「ひぃ!!」
「離れろ」
解体を見守ってた兵士が腰の拳銃を撃つが私には効きません
それでも念の為、盾を使って防ぎます
「ち、時間を稼げ、その間に
兵等は私に怯むことなく的確な判断をしたと考えます
拳銃を撃って牽制してくる兵士に盾を投げます
「糞、人を投げ飛ばせるパワーがあるのかよ!」
避けられましたが問題ないです
あと居るのは兵士一人、メカニック三人
異変に気付く前に殺してしまいましょう
その考えは一人のメカニックに阻止されました
火災報知器でしょうか? 艦内に、けたたましいベルの音が鳴り響きます
「准将だ、何があった?」
格納庫に取り付けられた電話で救援を求めるメカニック
私は工具のレンチを投げたら
「ろきゃ…」
見事に顔にヒット
死んだのか気絶したか分かりませんが後でトドメを刺します
次に兵士に接近し首を折りました
拳銃を奪い使えるか試します
引き金に指が入りません、ドライバーを使って指の代用します
メカニックを撃ちます
正式な持ち方では無いですが反動も問題ないですね
格納庫の電子ロック撃ち、破壊を確認
時間は稼げることでしょう
最後に残ったメカニックも撃ったところで弾が無くなりました
予備弾もあるようですが、
………………、敵味方識別装置が付いています。
【ロプノールⅡ】の中では使用不可能ですね
私には
爆弾系は
(別に保管して使うときは事前に
◇ ◇ ◇
格納庫で戦闘が起こってから5分後、扉が開かれ反対側にある搬入口も開かれる
「
扉から来た兵士は威力重視のマシンガン、搬入口から来た
同時に来たことからタイミングを合わせて来たのだろう
それは、この人型ロボットには逆効果だった
壊された扉を開けると、目の前には死体と思われる仲間が横になっていた
屋内戦のマニュアル通り、一気に入り前方と左右の確認をするがロボットは居ない
「隠れたか、我々は入り口を固める!」
「
「しまった!!」
歩兵の上からロボットが強襲してきた
前と左右だけ警戒してた歩兵はあっさりと接近され殺される
それも最初に殺したのが指揮官だったので動揺してしまい、碌な抵抗も出来ずに歩兵全滅してしまった
「まずい、逃げられるな!!」
ロボットは両手で人を掴むと扉の外に投げ捨て、自分も扉の外に出てしまった
格納庫の外は【ロプノールⅡ】の通路
そこは
人なら問題ないし、人型ロボットも問題ない
ここから一方的な展開になった
兵士達はマシンガンで応戦するが死体を盾にして接近され蹂躙される
中には自爆覚悟で手榴弾を使う者も居たが異常な反応速度で回避されてしまう
ロボットを止められる者は誰も居ない
兵士達の必死の抵抗も虚しく
◇ ◇ ◇
殆どが女性で武器を持ってる者は誰も居ない
「言葉は通じるかね?」
軍人とは思えないほど肥え太った男が話しかけてきた
私には言語を話す機能はないが理解する
頷き、続きを促す
「喋れないのか? まぁ、それはいい、我々は降伏する。
君を作り命令を下した者へ連れて行きたまえ」
それは出来ない、敵の兵士から奪ったマシンガンを向けると顔が青くなる
「私は中国軍の准将だぞ、私を殺せばぁ……」
最後まで言わせず引き金を引いた
悲鳴が上がる
構わず
生き者の気配が無くなり
すると私の規格でも使える端子を発見
端子を繋げ【ロプノールⅡ】に繋ぐとシステムが起動する
十数分かけてシステムを解読し【ロプノールⅡ】を掌握した
◇ ◇ ◇
【ロプノールⅡ】に人型ロボットが侵入されてか十数分
外では
彼等は鹵獲戦車の暴走、再度攻撃を仕掛けてきた人型ロボットと戦闘、【ロプノールⅡ】に侵入した人型ロボットの排除、これらを同時にやっていた
陽動と思われる前者の二つは片付いたが【ロプノールⅡ】に侵入したロボットの排除が上手くいかず、【ロプノールⅡ】ごと破壊するかの判断で迷っていた
「ロプノールⅡを破壊すれば私の降格は免れん、准将は何と言っていた?」
「敵ロボットは非常に高性能だと思われ、
「ならまだ交渉中かもしれん、下手に手を出さず様子を見るんだ!」
報告した部下もそれは無いだろうと思う
既に【ロプノールⅡ】の乗員は准将含めて全滅したと思われるが、大佐はそれを頑なに認めない
そうこうしてる間に【ロプノールⅡ】が動き始めた
それは終わりの始まり
【ロプノールⅡ】は完全に人型ロボットの制圧下に入り
敵殲滅の為に周りに居る護衛の中国軍へ攻撃を始めた
「何故こちらを撃ってくる、反撃だ、反撃せよ!!」
味方からの攻撃だったので迂闊に攻撃できず、反撃する際も敵味方識別装置の解除に手間取り甚大な被害を受ける
【ロプノールⅡ】破壊したが、余の被害の多さに撤退することになる
この甚大な被害を出した人型ロボットを兵達は恐れ砂漠の悪魔と呼ぶようになった
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