第27話 砂漠の悪魔(前編)
※今回は主人公視点ではありません。
会話は日本語で書いてますが中国語を喋ってます
昨日の昼ごろ、砂漠を横断するように走る集団があった
中国、第3軍区陸軍に所属してる一個師団(15000人)
その部隊が結集してアラウィー戦線と名乗るテロ組織を殲滅するためにタクラマカン砂漠の中央付近を目指していた
「タクラマカンの旧軍事施設は、想定より北よりだったな」
そう話すのは
「やはり補給都合を考えますとウルムチよりになるのでしょう」
相槌を打つのは副将の
「砂漠で敵の居場所が分からず手をこまねいていた所に、日本軍が発見して目印代わりに隕石が落下するとは閣下も運がいい」
「いやいや、私の実力だよ大佐。
日本軍に旧型ロプノールの貸し出しを進めたのは此のためだ。
彼等が偵察して、我々が美味しいところを頂く。
そのために旧型とはいえ大型ホバー戦車ロプノールの貸し出しを進めたのだ。」
「確かに、その通りでございました。」
「その私も隕石が落ちて、それが目印になるとは思わなかった。
それを考えれば大佐が言う通り運がいいと言えるのかな?」
「はい、私はその准将の知略と幸運にあやかる機会を設けてもらい感謝しております」
「そうかね? それならたっぷり感謝したまえ!」
高笑いする
彼等はこの戦いで勝つことを疑っておらず、勝った後のことを考え有頂天だった
彼等の部下も油断はしていないが勝つのが当たり前だと信じている
それもそのはずで、敵は人数こそ多いものの、絶対防空システム【アイギス】を持ってるだけで基本的には二世紀ぐらい古い装備を使ってる
そんな古い物で現代の軍を相手に出来るわけがない
日本軍は人数が少なかったから相手に出来ただけで、我々中国軍は違うと思ってる
「准将、そろそろ隕石の落下地点です」
「そうか、聞いてた罠も無いし逃げたか?」
「よし、停止し部隊を展開して、探索と索敵しろ!」
大佐の命令で全部隊停止し、いくつかのグループに分かれて探索と索敵を始める
彼等が最初に調べたのは壊れた旧型の99式戦車
ハッチが開けられ中から手榴弾を入れて倒したと思われた
「中を掃除して修理すれば使えそうだな」
アラウィー戦線が放置した戦車は5両
殆どが中から手榴弾を入れられ破壊されてたが、中にはどうやったのか想像できないが乗組員だけ殺されて放置された戦車もあった
「近くに放置されてる死体は強力な力で首の骨が折れてます」
聞いた話では日本の
砂漠でも生き者は居る
この辺の生物は核実験の時に一度全滅したはずだが別の場所から移動してきたのか色々な生物が死肉を食らいに来ていた
特に鳥は遠目からでも見えるほど多くやってきて死体を啄む
敵が居ないことをいいことに適当に追い払う兵士も居たが誰も咎めない
そんな中国軍の探索隊が発見した五つの旧軍事施設は入り口が全て破壊されていた
「ふむ、旧軍事施設の詳細な資料はないのだな?」
「はい、前大戦で資料は消失しております」
入り口が見つかってるだけでも五つ
これは戦車用の出撃口だと思われ、通路の先に旧軍事施設があるのだろう
入り口の瓦礫を撤去して入ればいいと思い作業させてたが、アラウィー戦線の置き土産と思われる地雷がいくつか発見され撤去作業は遅々として進まない
次第に日が暮れて夜になった頃、中央にある一つの通路内側から爆発が起きた
それは地雷の爆発では無く、アラウィー戦線の攻撃に違いない
撤去作業をしていた者は後退し、煙が晴れるのを待つと中から出て来たのは灰色の機体を血で染めた人型ロボット
手には見慣れない銃と思われる武器を持っている
中国軍は文字通り軍であり、彼等はその道のプロだ
各国の武器は、銃なら見た目で何処の国が作った物か判別できるほどの知識を持つ
その彼等が見たこともない銃を持つロボットは、片手で銃を持ち反対側の手で沢山の首を持っていた
首の主はアラウィー戦線のメンバーと思われ、この先の通路で人型ロボットに殺されたのだろう
ロボットは銃を下げたまま首を中国軍に投げて寄越す
彼等の顔を確認しようとした近寄ったその時
首が爆発した
正確には髪の毛で隠された手榴弾が爆発したのだが、兵士達にはそのように映った
これが後に「砂漠の悪魔」と呼ばれる人型ロボットとの初戦闘になる
人型ロボットは見る限り三体居て、大きさも成人男性ぐらい
見慣れぬ銃は電気を使うレールガン式の銃で、銃身はショットガンよりやや長く太い
それは【アイギス】でも予想外の威力に最初の数発だけ迎撃が不完全だった
「大佐、あれは何だと思うかね?」
【ロプノールⅡ】の艦橋で人型ロボットを見る
「対人用のロボットでしょうか? 我々が調べた情報にも、日本が調べた情報にも無い物です」
見知らぬ人型ロボットが暴れているが多勢に無勢、三体のロボットは
「壊れた物を回収しましょう。 あれを調べれば何か分かるかもしれません」
「そうだな、損傷の少ないヤツを回収せよ!」
後で分かったが、それは最悪な判断だった
北東にある入り口が爆発し、中から人が逃げてくる
アラウィー戦線のメンバーと思われるが自分たちが仕掛けた地雷に引っかかるほど必死に何かから逃げてる
自分たちの敵である中国軍に助けを求める様な感じで、手の武器を捨て、装備してた手榴弾は安全ピンを外して後ろに投げる
顔に涙を浮かべ、無抵抗を示すように両手は上に、それでも必死に何かから逃げてくる
いくら敵とはいえ、そんな状態の人を撃てるはずもなく保護する
アラウィー戦線のメンバーが出た後、彼等が投げた手榴弾が爆発し入り口は埋まったけど、また内側から爆発が起きて入り口が現れる
そこには5体の人型ロボットが現れた
前に現れた3体の人型ロボットと同じ姿をしてることから同型機と思われ、同じ様に銃にアラウィー戦線のメンバーの首を持ってる
今度は様子見などせずに一斉攻撃する
生き残ったロボットは壊れた3体のロボットを引きずり、通路の奥に逃げていく
「What is that? Do you know that Robot?
(あれは何だ、お前たち何か知っているんだろう?)」
「I don't know. I don't know.(知らない、知らないんだ)」
逃げたアラウィー戦線のメンバーにロボットのことを聞くが恐慌状態で話ができる状態じゃない
とりあえず、拘束だけして後方に移動するが、壊れたロボットにもひどく怯えてアラビア語で何かを訴える
アラビア語を分かる人は誰も居なかったので、暴れない様に捕虜からロボットを遠ざけただけだった
それがまさか、あんなことを訴えてた何て思わなかった
中国軍が破壊した人型ロボットは、致命傷を与えない限り再生するなんて分かるわけが無い
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