第25話 三日目、午前中の通信
国境を偵察する
軍事用偵察衛星が在った頃ならよくあった使用方法だ
現在はケスラーシンドロームが起きた時に大量に発生したスペースデブリにより全ての人工衛星は壊れた
……………そう思われていた
だけど彼女、神代輝月は人工衛星を中継して月基地と連絡を取ってると言う
それは生きてる(もしくは新しく作った)人工衛星があるということだ
彼女に調べて貰えれば、俺達が調べられない国境の状況を調べられる
そう思って聞いたのだが
「何を知りたいの?」
と彼女は聞いてきた
確かに言い方が悪かった
「俺達が知りたいのは隕石衝突で起きた影響。
あれだけ大きな隕石というか小惑星が落ちた。
調査団が組織され、マスコミも動いてるはずなのにニュースになってない。
落ちてから二日も経ってるのに動いてないはずがない。
多分、中国政府に止められてるから国境を調べればマスコミか調査団の自動車が見つかるはずだ。
輝月にはそれを調べて貰いたい。」
暫く考えてたみたいだが快く了承してもらった
「よう、少佐」
手を上げて呼ぶのは
「司令、何やってるんでしょうか?」
何故そこで、こいつ分かってないなー的な感じになるんだ?
「おいおい、忘れて貰っては困るよ?
月基地と通信する際、出来れば私も連絡したいと言ってたじゃないか。
機材の都合で出来なかったがホータン市で調達できたから今準備してるんだよ」
俺達は丁度いいタイミングで来たらしい
「もう少しで準備が出来るから待っててくれ」
それなら俺が彼女に頼んだことを
「衛星を使うのは盲点だったが、調べたら分かるものか?」
衛星の性能を知らないから能力を疑問視してる
それでも、やらないよりやった方が判断材料になるのだ
「この機器を繋げばテレビとカメラで通信をやりとりできるんですよね?」
追加で買ってきた機材は変換アダプタが主で、変換された先は彼女が使ったことのない物になる
「そうだが、衛星の情報とかもテレビに映せるか?」
「やってみないと分かりませんが、多分可能です」
彼女はハッチを開けて
コードの長さが足りないなどのトラブルはあったが10分ぐらいで接続が終わった
接続されたテレビが最初に移したのはパソコンのデスクトップの様な画面
それを繋いであるキーボードで操作してる様子から、本当にパソコンと変わらない使用なのだろう
通信と思われるアイコンをEnterキーで押したら通信が繋がった
「おはよう、それともこんにちは?
今回の通信担当はエイルだよ!」
通信室と思われる狭い部屋に居る金髪碧眼の白人女性
白人は基本的に色白だが、その中でも一際白い
「こんにちはエイル、私達の映像は見れてる?」
「見えてないよ! カメラの位置変えた?
輝月のドアップで殆ど何も見えてないよー」
テレビの画面の前で輝月がキーボードを打ってたので、輝月はキーボードごと後ろに下がる
「おお、これ外の風景!?………、でもなさそうだね。
位置は大丈夫だけど角度が悪いから少ししたに向けてくれる?」
それから何度か調整してやっと連絡(輝月の報告)と国境の偵察を頼む
「うん、報告は分かったし、そちらの頼みも分かった。
でも、調べるのに時間は掛かるよ」
「具体的にはどのぐらい?」
「1時間くらいかな。
それと今分かってることを伝えるね」
なんでも短波を使ってるラジオ放送のニュースである程度のことは分ってるらしい
まず中国が情報統制してるのは確定
その上で国境で現地にテロ組織が在ることを告げ、マスコミと調査団の入国を拒否している
それは俺達が居ることから(元々治安維持目的で招集されてた)分かってたことで、国際連合の軍としてモンゴルとカザフスタンが国境まで着てたが、中国が入国に難色を示したため国境で足止めされてる
「そっちに来ようとしてる軍の規模までは分からないから後で調べとく」
「ありがとう。
意外と此方の状況を把握してるんだな」
「いえいえ、このぐらい
俺が礼を言うとドヤ顔で胸を張るエイル
胸を張った時におっぱいが揺れたが、揺れ方が不自然だった
低重力の影響で筋肉が無くても胸を支えられるため大きくなりやすいのだろう
なんだか考えが別の所に逸れた
俺のあとに続いて
次は1時間後に連絡するため
「そうだ、伍長と少佐、あと輝月ちゃんに渡すものがある」
解散して部屋に戻ろうとする俺達を
俺と奈菜伍長には電話番号とメールアドレスが書いたメモを渡される
「これもしかして…」
「輝月ちゃんい渡したのは事前に調べて盗聴の類は壊した通信機だ」
やっぱり、このメモは輝月の電話番号とメールアドレスだ!!
「それは昨日買ってきた携帯ですね」
中国では国内の機械製品は情報を抜き取るために細工されており、昨日買ってきた旧型にも仕掛けられてたと言う
情報を扱うオペレーターの奈菜伍長は気になるのだろう
「そんなの使って大丈夫なんですか?」
「電波を拾われれば盗聴器なんて関係なく聞かれるし問題ない」
輝月に電話を渡すのは動き回るのに必要な俺達と連絡しやすいよう配慮した結果だ
【ロプノール】内であれば電話をするのもメールをするのも自由にしていい
勿論、輝月の携帯には最初から俺と奈菜伍長の電話番号もメールアドレスも入っている
「では一時間後まで解散だ」
その一時間後の通信で俺達は想像もつかないことを知らされることになる
通信に出たのは前と同じでエイル・ストゥルルソン
「非常に言い辛いんだけど、中国軍が敗北しちゃった」
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