第17話 戦友

俺達は補給部隊と合流し撤退した後、補給の中間基地を目指し進んだ


補給部隊は後方待機してたが、隕石の落下した様子を見るため二つに分け【ロプノール】に増援に向かい合流したのだが、その後直ぐに撤退だったのでトンボ帰りだっただろう

帰りの道中で俺達に何があったか報告できた御陰で、情報の共有を出来たため無駄ではなかった、………はずだと言う愚痴を青井少佐がこぼしていた


部隊は南南東に進み数時間

そろそろ補給基地となってる場所に近づくと、先触れを出してた御陰で警戒以外は敬礼し出迎えてくれた


こちらでは帰ってくる俺達のためにテントなどの寝床を作っている最中で、移動中手の空いてた者は手伝いに駆り出された

【ロプノール】は拠点西側に止め、明日の早朝に撤収作業に入ることになり、夜間警戒を残して皆一泊することになる


そんな殆どの者が寝てる中、【ロプノール】の食堂で一人書類に記入してる者が居た

それは鋼鉄鎧メタルアーマー部隊の隊長で他の隊員よりやることも書くことも多い俺だ

大抵はその日、眠る前に書き終えるのだが今日はいつもより書くことが多く、

終わらずに今書いている


そこに神代輝月を連れた奈菜伍長が入ってきた


「龍野隊長お疲れさまです」


「奈菜伍長も深夜ご苦労さま」


そこで神代輝月を見る


「それで神代さんを連れて如何したんだ?」


「彼女に飲み物(ジュース)と思ったんですが、何がいいか分からないので付いて来て貰ったんです」


と答えるのは奈菜伍長

何でも宇宙(主に月基地)で暮らしてたから水以外の飲み物が貴重で、合成の物しか無かったと言う


「地上のジュースを飲んでみたかったの」


子供っぽい理由を答えるのは神代輝月

確かに彼女は聡明で賢く綺麗だが年齢的にはまだ子供だろう

拗ねた様な態度で言うのは反則的にかわいいが、計算してやってるのだろうか?


「別に構わないが、ジュースだと喉が渇きやすいぞ」


ここは砂漠だから乾燥して喉が渇く

明日一度町に戻るからジュースでも何でも飲んでいいがジュースは水より喉が渇きやすい


「宇宙食の味と何が違うのか知りたかっただけだから大丈夫」


そういうとコップを取り出して炭酸飲料を注ぎ飲むと直ぐ止めてコップを見出した


「何これ?」


「ただの炭酸飲料だぞ?」


「へー、これが炭酸なんだ!」


まるで初めて炭酸を飲んだ様な反応だが宇宙には炭酸は無かったのだろうか?

聞くのは躊躇われたので聞かなかったが彼女の反応が答えだろう


「龍野隊長、私はそろそろ寝るので彼女を元の場所に戻して貰っていいですか?」


俺達の様子を見てた奈菜伍長がニコニコ顔で仕事を押し付けようとする


「いや、それは伍長の仕事だろう? 俺は見ての通り報告書を書く仕事がある」


「そんなの明日でいいじゃないですか!

隊長のことだから書く内容はまとまってるのでしょう?

私はもう眠いんです! だから任せますね!!」


そう言って食堂から出ていく奈菜伍長

無理矢理に仕事を押し付けられたが、考えてみると俺と彼女が二人っきりに成れるよう気を使われた様だ


「奈菜伍長に気を使われたようですね」


「すまん、迷惑だったか?」


二人っきりだと思うと急に心臓がドキドキしてきた


「大丈夫、私も龍野さんと話したいことがあったし…」


話したいこと……、ってもしかして初めて会った時の返事アレか!?


「何だ?」


「まず、私の話を聞いて信じてくれて、ありがとうございます。

御陰で日本国際連合ここに高待遇で保護されることになりました。」


身構えてると予想外の話が出てきて一瞬キョトンとしてしまった


「何だ、そんなことか。

それは俺の仕事を上司が的確に判断した結果だ、俺の御陰って訳でも無い」


「それでもお礼がいいたかったんです。

ありがとうございました。」


少し照れてると何か言いづらそうに続きを話始める


「それで、えーーと、その、あの時の返事なんですが………、覚えてますか?」


覚えてるも何も、今日は一日中彼女のこと考え、私情を挟まない様に気を付けていた御陰で忘れる暇が無かった


「ああ、俺が貴女に初めて会った時に告白した返事だろ?」


「はい、それです。

それで、その…、すみません、結婚とかそんなこと言われても分かんないです。


…………友達からではダメでしょうか?」


何となくそんな気はしてた

行き成り始めてあった相手に結婚してくれと言われても「はい」と答える人は少ないだろう

それを考えると友達から始めましょうと言うのは良い返事なんじゃないだろうか?


「大丈夫だ、それじゃ俺達はこれから友達………、いや、戦友だな!」


そう言って手を前に出す

彼女は一瞬、意味を理解しかねてキョトンとしてたが納得した様子で


「そうですね、私達は友達と言うより戦友に近いですね」


と答えてくれて彼女も手を出して握手をする


戦友それなら苗字じゃなく、輝月って名前で呼んでください」


「分かった、輝月も俺のことは神谷って呼んでくれ。

龍野は二人居て呼びづらいからな、他意はないぞ!!」


一言余計な気がするが、彼女はクスッっと笑うだけで何も言わなかった


「それじゃ、そろそろ部屋に戻るか?」


輝月は炭酸を飲んだので、もう用は無いはずだ


「その前に一つ聞いてもらっていいかな?」


何故、彼女(私)に惚れたのか?という質問は答えられなかったので代わりに別の質問に答えた


「じゃ、好きなこと教えて」


と言われたので


「ロボットだ。」


と馬鹿正直に答えた


もう少し女性が好みそうな内容を答えろと、この時の俺に言いたいが後の祭り

その後でロボットの何処が好きと言うことを語った気がするがそこは記述しなくていいだろう


そんな話をした後に輝月を部屋に送り俺も寝ることにした

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