第13話 良い知らせ

「あんなこと言ってよかったんですか?」


美しい彼女(神代輝月)を送り届けたあと部下からそんな声が聞こえた


「なんのことだ?」


「彼女、輝月ちゃんのことですよ」


「保護とか歓迎とか言って独房入れたことか?」


「そうそう、騙して捕虜にするとか後で問題になるんじゃ?」


「大丈夫だ」


彼女は日本人顔に近い白人系だ

本人はロシアと日本のハーフと言ってたので特徴は有ってる


けして現地のウイグル人では無いと分かるはずだし、敵の中東系の顔立ちでも無い


「ウイグル人系に似てるが彼女は銀髪だったし、敵と現地人とは違うとすぐ分かる

彼女の言葉の裏が取れるまで賓客待遇さ」


「それなら良いんですがねぇ」


「それに騙されてない、理解した上で同行したんだ」


「と言うと?」


「あの場で他の仲間も居ないならテロ組織か俺等に捕まるしか選択肢は無かった。

なら良い待遇のこちらに捕まったと言う話だ」


「あー、待遇的な意味で選択肢はうち等しかなかったんですか」


捕虜になったであろう俺達の仲間を殺したことからテロ屋どもは捕虜を取る気が無いことが分かるし、

彼女は俺と別れた後、テロ屋の捕虜になるようなことを言っていたが実際には戦闘になり敵を全機撃破した


その戦闘力を敵にすることは馬鹿のすることだし、彼女を優遇しないはずがない


部下たちと途中で別れ、部屋に戻って少し休む

彼女、神代輝月が司令室から出た後で俺が呼ばれることは聞いてたので連絡を待ってから向かう


コンコンとドアをノックすると中から「入れ」と声が聞こえた

入った先には司令官と【ロプノール】の副艦長が待っていた

(司令官は艦長と兼任してる)


「龍野神谷少佐、招集に応じ参上しました」


今回は司令官おやじだけじゃなく副艦長も居るから真面目な話だけだな


「楽にしろ」


司令官おやじの話は、彼女の神代輝月のことであり

彼女の言い分は今まで教えられてきた歴史とは違い宇宙には未だ人がいると言う

その証拠となるのが赤い鋼鉄鎧レッドアーマーで既存の技術とは別の物が使われてると言う


「正直、我々で判断できる裁量を超えている。

彼女は本国に報告し判断を仰ぐことになるだろう。」


まぁ、予想通りだ

独房に入れたと言うが【ロプノール】の中は広くないので空いてる部屋が独房ぐらいしか無いだけだ

トイレ以外は部屋の中にあるし見張りも常についている

必要があれば直ぐに司令を呼び出せる体制になっての安心できるだろう


「分かりました。彼女の尋問は問題なければ私にやらせて貰えないでしょうか?」


「安心しろ、尋問は少佐と奈菜伍長にやってもらう予定だ」


今は奈菜伍長が見張りをしていて、渡されたデータの内容と地上に来た理由など詳細をレポートにして貰っているとのこと

俺は彼女に最初に会った人間なので第一印象は置いといても話は聞きやすいだろうと言う話で、奈菜伍長は女性のサポートとして付けられた


何だかんだ言ってたが、これは気を使ってもらったのだろう


「ありがとうございます。私からの質問は以上です。」


「そうか、それと今回の隕石墜落の現場を調べるため他の軍が此方に向かっていると推測している。

それに先駆けて退路を確保してた補給部隊の約半数が此方に合流しようと向かってきているので少佐には出迎えをしてもらいたい。」


これは良い知らせだ

戦闘で負傷こそ少ないが隕石落下の被害は馬鹿にならない

軽く聞いた話では戦闘での被害で死者こそ出なかったが重体9人、

その後の隕石落下で死者3人、重体3人、重傷21人、軽傷36人


合計で死者3人、重体12人、重傷21人、軽傷36人となって人手不足だった


「了解です。彼等の現在地などは分りますでしょうか?」


「後方の南南東を時速60キロで走行中とのこと。

此方に向かってるのは戦車2両、鋼鉄鎧メタルアーマー100機、はぐれない様に此方へ案内しろ」


「了解いたしました!」

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