第11話 合流

その戦場に着いたのは全てが終わったあとだった


戦闘は赤い鋼鉄鎧レッドアーマー圧勝だったのだろう、その戦闘はロプノールから送られた偵察用ドローンを中継して映像を届けてくれた


恐らく俺が報告した後、確認の為に飛ばした偵察用ドローンからの映像

戦闘が始まって既に一両目が破壊された後から始まっていたが、

数十メートルを一気に駆け抜ける速さ、数メートルを助走なしで飛ぶ脚力、地上数メートルから着地して壊れず歪まずの強度

最後に残った戦車が後退しながら撃ってきた攻撃を躱しつつ仕留めるとか相手には悪夢以外ないだろう


その赤い鋼鉄鎧レッドアーマーは最後に分かれた場所の近くにあった施設入り口の瓦礫を退かしてる最中だ


「えーと、こんにちは?」


なんて声を掛けようか迷って出た言葉がコレだ

こちらの接近に気づいてたのか作業を止めず赤い鋼鉄鎧レッドアーマーの顔だけ真後ろに向ける


「えぇーと、鋼鉄鎧メタルアーマー、顔だけこっち向いてるが、カメラは治ったのか?」


「カメラは治りましたが、何故カメラが壊れてたことを知ってるのですか?」


赤い鋼鉄鎧レッドアーマーは警戒したのか電子音が鳴ったあと足の構えだけ変えて瓦礫の撤去を再開する


「警戒させたかなら、すまん。俺は貴女に結婚を申し込んだ龍野神谷たつのこうやだ!」


一目惚れした時の勢いが無くなってしまえば急に恥ずかしくなったり、相手が鋼鉄鎧メタルアーマー越しなのに硬くなってしまう


「あぁ、龍野さんでしたか、こんにちは、思ったより速い再開でしたね」


「ああ、そ、それでだな」


ガチガチに緊張してると後ろから声がかかる


「何で緊張してるんですか隊長?」


「これが例の赤い鋼鉄鎧レッドアーマーですか…」


部下の声で我に返り、ゴホンと咳払いして本調子に戻す


「部下が失礼した。この二人は重装鋼鉄鎧メタルアーマー乗りの伊藤大尉と杉田中尉だ」


鋼鉄鎧メタルアーマーの左手を上げる伊藤大尉


「左側担当の伊藤大尉だ」


鋼鉄鎧メタルアーマーの右手を上げる杉田中尉


「反対の右側担当の杉田中尉っす」


「初めまして、私は国際宇宙連合軍属の鋼鉄鎧メタルアーマーパイロットの神代輝月かみしろきづきです」


彼女は挨拶の為に瓦礫撤去を一時止めてたが、また手を動かして再開する


「ところで何をやっているんだ?」


「探し物をしてるの、貴方達は四角い箱を見つけなかった?」


俺は報告の後、直ぐにここに出戻りしたから聞いてないし部下に聞くが何も聞いていないらしい


「その箱の中身は何なんだ?」


「渡したデータを見たなら想像つくだろうけど、まだ見てない?」


渡された物は100年以上前に使われてたデータなので中身を見るのに時間がかかってると伝えると


「……そう、ならもう一度説明するけど、

私は国際宇宙連合軍所属の鋼鉄鎧メタルアーマーパイロットの神代輝月かみしろきづき

先ほど衝突した隕石と共に地球に降下した月生まれの人類です。


私が探している物は地球降下時に持ってきた3Dプリンター

月面基地建設時に使われた設計だから100年以上古いけど、

耐久性に優れ、地上で使っても不具合を出さないから物資不足を補うのに便利だから持ってきたの」


国際連合軍所属???


隕石と共に降下???


月生まれの人類???


「ごめん、正直何言ってるか分かんない」


「そう、そんな気はしたけど、兎に角私は3Dプリンターを探してるの貴方達が拾ったなら問題ないんだけど、

敵対したテロ組織(?)が持ってると危ないの、手伝ってくれない?」


ひたすら手を動かし探してるようだが、そんな時間は無い



「それは出来ないというか、そんな時間は無い。 私達は…」


そこでロプノールから通信が来る


「すまん、通信が入った、少し待ってくれ」


外部スピーカーを切ってから通信に出ると、探す予定の仲間達の遺体が人数分見つかったので帰って来いとのことだ


「思ったより早く見つかったってことは偵察用ドローンが撃墜されずに探し当てたってことですかね」


「隕石衝突でドタバタしてるのは私達だけじゃないということだな」


話を聞いてた部下二人から内線で話が飛んできたが、それだけ楽観できる状況だった


現代では偵察用ドローンなんて発見されて迎撃されるのが当たり前の消耗品扱いなのに、それが無かったのは相手も空の監視が出来ないほど慌ててる証拠と思えた


「すまん、通信は終わった。 それで3Dプリンターを探す話だが諦めてくれ」


「貴方達は重要性が分かっていない」


そこで作業を止め赤い鋼鉄鎧レッドアーマーがこちらに向かい合う


「それは分かってる。事の重要性を理解してないことは分かってる。

だけど此処に長居すべきではないことも分かってるだろ?

敵に襲われたんだ、撃退しても援軍が来る可能性が高い、行くところが無いのなら俺達が保護しよう、だから……一緒に来ないか?」


「……どこへ?」


「俺達の軍、国際連合日本軍にだよ」


「それは貴女の願望が入ってない?」


「俺の願望があるのは否定しないが、軍としても貴女の保護は状況を把握する意味で重要と考えている」


「私が持ってる技術が欲しいだけなんじゃない?」


「否定しない」


「素直だね、……いいよ、私を連れて行って」


「分かった、我が軍は貴女を心より歓迎しよう」

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