第18話 魔女仲間

〈六月〉

 今月からは九月の末まで休暇になる。私も休暇なのだから好きなところに行って良いと行ってもらえたが、今年は最初の年だから叔母さんに付いて行く事にした。

 叔母さんはまず始めに、家族のところに顔出しに行くという。



 立山のアルペンルートが一般閉鎖の間は叔父さんも雄ちゃんも山にはこない。だから叔母さんは一年の半分以上を家族と離れて暮らしているのだ。

 なので休暇に入ったらまずは、家族に会うのだ。


 旅好きな叔母さんは、休暇の間家族とずっと過ごしているわけではなく、全国各地の魔女仲間のところに旅をするらしい。

 それは情報収集と勉強も兼ねていて、テレビもネットも無いところで半年以上過ごしている間の世の中の動向を知るためだという。





「これから行くのはオーロラの魔女の家よ」

「オーロラの魔女?」


 私たちは島根県に着いて、海沿いの町にきていた。


「そう、オーロラの魔女は普通の人間にさせる魔女なのよ」

「普通の人間?」

「世の中にはね、私たちのように特殊な能力や見た目を持っている人たちがいる。そういう人たちが迫害されて、普通の人間になりたがった場合や異世界の半妖、半獣の人たちが人間になりたくてやってきたりするのよ」


 異世界?うちの洞窟も異世界と繋がっているとは聞いていたけれど、そういうところからもお客さんがくるものなのね。

 オーロラの魔女の洞窟はうちの洞窟と似ていた。叔母さんは自分の家のように玄関を開けて(鍵はかかっていなかった)大きな声で家主さんを呼んだ。


「こんにちはー。ミキー!いる?」


 すると女性ではなくて……!ケンタウロス?みたいな人が出てきた。


「あ、真知子さんお久しぶりです。ミキは昼寝してるんだと思います」

「昼寝?」

「昨日まで二件お客さん来ていたので疲れたのだと」

「という事は今はお客さんいない?」

「はい、今は僕とミキだけです」

「じゃあ2〜3日お邪魔していいかしら?」


「もちろんです。ミキも喜びます……ところで、そちらは……もしや」

「私の後継者よ。今年から修行に入ったの。文乃ちゃんって言うの、よろしくね。文乃ちゃん、こちらコットン、見た通りのケンタウロスだけど普通の気のいい青年よ」

「文乃です、よろしくお願いします」


 叔母さんとコットンさんたちはかなり親しい間柄のようだった。

 ミキさんは私と同年代だというのに、もう魔女のベテランのような風格だった。

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