第17話 おばあちゃん

「トラの間はトラさんにお願いするけれど、この家自体のお留守番は今年は先代にお願いしたわ」


「先代!まだ生きてらっしゃったんですか?」


「生きてるわよー、まだ70代だもの。一般の70代にはこの山はキツイかもしれないけど、先代もずっとこの山を登り降りしてきたわけだから元気なものよ」


「私、お会いした事ある方でしょうか?」

「あると思うわよ、私らの母さんだから。兄さんと一緒にお正月やお盆に一族の集まりに行った時におばあちゃんだよって言われてた人覚えてる?」


「え?お父さんの方のおばあちゃん?覚えてますよ!あの、山を登るのが大好きな……」

「そうそう。みんなが集まると山登りに一緒に行こうと言い出すのよね。だからここにだって喜んで登ってくるわ」


 そっか、もう私が生まれてからはおばあちゃんは魔女を引退していたんだ。だからずっと下に居たのね。


 おばあちゃんが魔女だったなんてそれも初めて知った。

 山登りだけじゃなく、スポーツが大好きでマラソンなんかもしているおばあちゃんは見た目も若くて、『魔女』という外見じゃない。


 というか、おばあちゃんも『魔女』というキャリアウーマンだったのね。


 お父さんから魔女にならないかと言われた時は、興味本位と一生食べていくのに困らない仕事だと聞いたからだった。


 けれど1ヶ月半ほどここで暮らしてみて、そしておばあちゃんも魔女だったと聞いて、前よりもずっと魔女業に興味が湧いてきた。



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