二章 冬の魔女
第12話 冬の魔女 はじまり
高校二年の時の進路相談で私は、就職を希望していた。
勉強が嫌いだったわけではないけれど、特に大学に行ってまで学びたい事があるわけじゃなかったし、大学行ったからといって望む企業に就職出来るとは限らないから。
そして男女平等とはいえ、大卒女子の就職はいまだに大変らしい事ぐらい私も知っている。
みんなが大学行くから大学へとは私は考えられない。
だって、怖いから。
いざ大学での就職活動となった時に上手くいくか分からないし、一生出来る仕事に出会えるかも分からない。ならば少しでも早く仕事をして、それでやっていけるのか安心したい。
手に職を付けて、一生していける仕事につければいいんだろうけど、それは一体何で、そして私がやりたいと思えるものなのか、それも分からないし定まっていない。
一般的に想像される、一生生活していけそうな仕事と言えば公務員や医者、弁護士などが思い浮かぶけれどどれも、私がなりたいというものは無い。
そんな私に高校三年生になった時に、お父さんから話があった。
「
私は首を振った。お説教でも受けるのかと少し構えていたら驚くべき話をされた。
「お父さんはずっとこれを文乃に言うか迷っていたんだが、文乃が将来を決めていないのなら検討してみて欲しい事があるんだ。従兄弟の雄くんいるだろう?雄くんのお母さんはお父さんの妹なんだが、立山で魔女をしているんだよ」
ん?今、サラッととんでもない事を聞いた気がする。
「それでな……」
「ちょ、ちょっと待ってお父さん」
「うん、どうした?」
「今、魔女とか何とか言わなかった?」
「ああ、文乃にとっては叔母さんになるな、その叔母さんなんだが、魔女をしているんだよ」
「はい?お父さんいきなり何言ってるの?」
「そうだな、文乃にとってはいきなりだよなごめんな」
「おとうさん!私に一体何を話そうとしているの?進路の事じゃないの?」
お説教受けるかもと思ったから大人しくしていたけれど、お父さんは私をからかっているのか笑わせようとしているのか趣旨がよく分からくて少しイライラしてしまった。
「いやな、なんだな……文乃に叔母さんの後を継いで魔女になる気はないかという話でな……」
「それ、本当の事?」
「ああ、本当だ。文乃も一族の血を引いているから魔女になれる。実は前々から一族の間では次期後継者に文乃はどうか、という話が出てたんだよ。けどな、お父さんは文乃が将来何か、なりたいものがあるならそれを優先してほしいと思って何も言わなかったんだよ」
話は突拍子もないけれど、お父さんの話し方からして本当の事らしい。
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