第9話 先祖

 更に翌日は昨日煮込んでいたラーメンを食べさせてくれるということで、皆でダイニングキッチンに集まった。


「少し待っててね、今、コットンが麺を切ってるから」


 ラーメンのスープだけじゃなく、麺まで手作りらしい。


「もう終わるから。後はこれを茹でれば出来上がり」

「じゃあ、お話でもして待ってましょうか。そうね……今日はうちの先祖の話でもしてあげる」

「ご先祖様ですか?」

「うん、うちの一族の祖先はね『スクナヒコナ』という日本神話に出てくる人なの。その人が小さかったから私たちに、その影響が出てるらしいわ」


 神話って……そんな昔の人まで遡れるなんて凄い。

 そっか祖先か。お母さんしかレモン族の人を知らないし、自分がレモン族なんだって事も大きくなるまで知らなかったんだもの、祖先までなんて考えた事なかった。


「ミキや先代のように魔女を継ぐものはスクナヒコナさんの血を色濃く受け継いでいるけれど、たまにここにやってくる一族の他の人たちはミキたちほどは小さくないんだよ」


「そうなんですか?」

「うん、だから普通に町で暮らしてても少し背の低い人ってぐらいで、そんなには異様な感じはしないのよ」


「ミキたちの一族は、一族の者同士だけじゃなくて一般の人たちとも結婚することがあるから血が薄い人たちもいる。中には一族の人間なんだけど、この洞窟に入れない者までいるんだ」


「そうなのよ、それでね思ってたんだけど、もしかしてアイラさんってかなりレモン族として血が濃い方なんじゃないかしら。お母さんのご両親が両方レモン族というぐらいに」


 お母さんの両親か……私が生まれる前に亡くなったことぐらいしか知らない。でも、そっか、レモン族じゃない人の血が多く入っていたら、髪が香らなくなるかもしれないよね。

お母さんの方が私より香りが強く感じるのは、私はずっと自分の香りより人の香りの方が強く感じられるからだと思ってた。けれど、そうよ考えてみたら私は少なくともハーフなんだわ。

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