受験生
限界ショーじょ
第1話
シャーパタンがたんがたんごとん
シャーパタンコトコト ピッ コトコトコト…コツ。
「では今から試験場所に案内します」
ざわざわザワザワコツコツコトコト
「あの…ここであってますか??」
「受験番号40番までの人はこちらです」
「あっ…ありがとうございます…」
コツコツギーストン。
ドキドキドキドキジワジワジワ
心臓と手汗と緊張と
今日はとうとう試験日。
敷かれたレールを歩くことが私の生きがいで。
ここもレールの上。
それでも受かりたいと思う私。
ガチャ。
「これから試験を開始します。」
ドキドキドキドキ。
何も準備せずただひたすらに
怠惰で真剣で馬鹿で頭の良い私は今から電車に乗るのだ。
パサカサカサカンカンカンカンかちゃ
隣も前も後ろも斜めもそのずっと先の人
私を取り囲む全ての人は今日にどれだけかけてるのだろうか。
どのくらい勉強したの?
家でベットにいる時間は何時間?
面接練習は何回した?
小論文の練習難しかった?
問題に目を通しながら。頭がいいからそんな
ことを思ってた。
「試験終了です。筆記用具をおいてください。
今後試験監督の許可なしに筆記用具を持った場合
不正行為としてみなします。」
カタン。
全員機械のように黒い鉛を置く。
頭のいい私は鉛を誰よりも早く置いた。
パサパサカタンギュッギュッはぁ…パサパサカタン
その後の試験も運行停止になる事なく進む。
レールはまっすぐ。
「続いては面接試験です。試験監督の指示に従い
行動してください」
「受験番号----23、----24、----25、----26の人は来てください」
ガタンガチャガチャギーガチャコツコツコトコトコツコツ
ああ、みんなよくそんなに軽快に歩けるものだ。
電車は揺られているというのに。
ゆらゆらドキドキおっとと。
一人だけ足元がおぼつかない。脳みそゆらゆら
足元ガタガタ。
「------00さんお願いします。」
「はい。」
失礼します。
「----------?」
「はい。私は----------------志望しました(レールの上を歩くことが私の生きている意味なのよ。理由なんかないのよ。このレールを進むためなのよ。)」
「-----------、-----?」
全部嘘。全部本当。全部仮想。全部妄想。
私は馬鹿だから自分のことなんてわからない
ただやじるしが向いてる方へやじるしの白い部分を
歩くことだけが私なの。
「他に質問したいことは?」
あーあ、この人は私に対してちっとも興味がないのね
あ、この人は私の回答に満足してない。
もうこの人なんか呆れちゃってるわ。
「ないですね。時間もちょうど来たのでこれで
面接を終了します」
「ありがとうございました(ごめんなさい)」
ガチャ。コツコツコトコトコツシュンシュンコツコツ
あーあーあーあーレール錆びてるじゃん。
あーあーあーあー白線きえかかってるよ。
レールが消えたらどうすればいいの
私はどこにいるの
どうやって生きていけばいいの。
スカートから膝をだし
Yシャツの一番ボタンを開ける。
窮屈そうな手首を自由にする。
白い耳栓をさし、死にたい歌を聴く。
白い導線の先には死にたい歌を歌う無機質。
ピッコツコツシューーーーパタン
ガタンゴトンガタンガタンゴトン。
このレールは突然下に曲がってて
そのまま落下してみんなは天国に行けばいいのに。
あ、私は地獄かな。
蜘蛛の糸なんてないもの。
この前は殺しちゃってごめんね。
シューーーーーーパタンコツコツピッコツコツ
ザワザワザワザワあいつザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワ制服?ザワザワ
そうなの。私受験生。
大学?いいえ。
専門学校?いいえ。
地獄への受験に行くのよ。
受験生 限界ショーじょ @genkai-girl
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