アヘフェイスダブルピースバーガーZネーチャン

 西暦2021年1月1日。もう、世紀末感は過ぎ去ってしまった、なんたって、ヲレにとっての精神世界は終わってしまったのだから。

 あの頃が懐かしい。ヲレ、イチカワヨウイチキは、世紀末感と闘う少年だった。また、あの頃に戻って、世紀末感と戦えるのを願ったほうがいいのか、どうなんだか。

 いまのヲレは、機械でもあって、ハーフレプチリアンでもある。が、この現状は、最初から創造主によって決められていて、ただ、オレは、普通そうにしていた頃からいまと実質は同じものだとも言え、それは極端に言えば、いま立派な人だとされているヒトが、将来大犯罪をする人と同じものなのだといえるが、それを言ったら酷すぎだ、ってものだろう。


 ヲレによってほとんど壊れた世界で、ヲレは、ヂックと一緒に歩いた。散歩だ、夜明けの。ちなみに、ヲレ的に言うと、ピンクフロイドのサイケアルバムで有名な邦題で『夜明けの口笛吹き』は、評論家からの評価は高いが、べつにヲレはそこまで好きではない。だが、90’sのニルヴァーナめいたノリはもうあそこでできあがっている、ピンクフロイドだけでもない、60’sの音楽は、次の次の次に来るような音楽も先取りしていたんだ。もっと言えば、それはバッハとか、そういう時代からでも言える。ヲレは、最近ヘッドフォンをしている、白色の。地毛ではないが後天的な意味では地毛の金髪でロン毛、白いスーツ、絶世のイケメン、身長194センチ。そうだ、イチカワヨウイチキは、もう昔と大違いなのさ、で、義眼している、死んでるようなほうを。

 ヂック、それ即ちキョウコンは、もう白衣を着るのをやめ、黒衣を着ている、いや、これは、世界をヲレが荒らしすぎて白衣が黒衣になるぐらいまで汚れた結果のものだ。ヲレが何人も殺した大悪党から吹き出た血で、ヂックはいま赤毛なんだ。


 今、この世界でほか、誰が生きているんだっていう話は、ヂックによれば、もうヘンタイしかいないようだ。


 本来ならMの字だったはずだろう、某マックの看板は、荒廃したせいでひっくり返って、W、そうだ、ワックだ。ワックって、ダサいって意味なんだってな、”ラッパーの誰々が言ってんだろ”、ってラッパーの誰々その2が言ってたんだ、”2”っていうのはトゥパックのことではないが。まあ、そのワックも一部の人のみが使ってるラップスラングのように聞こえさせてはいるが普通に海外では浸透した言葉ってのも知ってるけどヲレは。


 ヲレらは、天井も床もほとんどないワクドナルドのカウンター席に座った。

 レジスターもぶっ壊れている、デンキも使えないんだろうってほどに壊れたこの地球。でも、なぜか電脳的で、電波系。世界が壊れても、セカイ系なアトモスフィアを感じさせる。これはヂックのおかげか、なら、アトモスフィアンセィ、だ。


「ご注文は……」女店員は言う。

「まだこんなとこで店番やってたのかよ」ヲレは言う。

「いえ、わたし、よくわからないんで、こうするしかないんですよね、急に世界壊れるなんて、知らなかったし、もういろんな権威的機関も、高校で結成したバンドのように以上な自然消滅具合。権力者もだいぶ減ったそうですよね。ロックフェラって人はいるみたいですが」女店員は言う。

「ロックフェラね。どんな舐め方するんだろうか」ヲレは言う。

「ヘドバンしながらノリノリでするに決まってんだろ」ヂックは言う。

「されてるほうまでヘドバンしてやがんだろ」ヲレは言う。

「結構前からロックは死んだだって。ロン毛なのも減ってるしな。でもメタル系のはロン毛のままって印象があるわ」ヂックは言う。

「ああ確かに」ヲレは言う。

「だよな。世界って、カタストロフっていても、結局会社は休みにならなくてとか、結構あるもんな、君、正解だよ、どこかシニカルだ、見ようによっては」ヂックは言うが、”カタストロフってる”っていうのは、カタストロフが起きているっていうことを言いたいようだ。

「カタストロフっていようが、世界は続いていますっていうさ、気にくわないんだ、でもそこは文句言っちゃいけねえところだ」ヲレも言ってやった。

「そう言う割には世界壊してただろオマエ」ヂックは言う。

「あのさ、君ってヲレがこの世界壊したとか言ったら信じてくれるの?」ヲレは言う。

「いや信じられませんよ、だって壊したのは、確か……フェラリって会社がトヨタを憎んでいてだとか、友だちが、ネットで。まあその友だちその後すぐ死んだようですけど」女店員は言う。

「フェラリって。今度は、フェラしながらラリってるんだろ」ヂックは言う。

「もしかして、君、わざとフェラとか言って誘ってるんだろ?、いや、ヲレがかっこよすぎてヤりたくなっちまったかっ?!」ヲレは言う。

「いえ、そういうつもりじゃ。ほんとにそういう名前のところがって聞いたからそういったんですよ」女店員は言う。

「いったのか」ヂックは言う。

「いっちまったみたいだな」ヲレは言う。

「あのいま一番気になってることがあって、ヰルミネチィってなんですか?」女店員は言う。

「それオレらの部下のことだ。ロックンロールフェラチオさんもロストチャイルドさんもそれってよく聞くだろ?、まだそこまでいっていないか?」ヂックは言う。

「いってないです」女店員は言う。

「じゃあさっきのはいったフリか。そういえばヲレは結局性行為は、おっぱいしゃぶったぐらいだ、あんだけ暴れても」ヲレは言う。

「世界何度も壊しても童貞とはな、おもしろい。社交辞令だけど」ヂックは言う。

「どうして社交辞令を。もう社会って概念自体が消滅したんじゃってぐらい人死んだのに」ヲレは言う。

「だって、なんか会話や、できごと、そういうの、作っていかないと、もうオマエの人生も打ち切りになるぞ」ヂックは言う。

「ヲレの人生は小説か」ヲレは言う。

「そうだお、いま読んでるお、お主の脳内で刻まれた妄想型電脳小説を、拙者」キモヲタヴォイスがヲレの右脳からした。

「だったら、よくいうだろ、私たちは、魂を磨いていかないといけないから、この世で、無意味のような人生を生きなければいけないのですって」ヂックは言う。

「そういう本高校の頃読んだことがあるが、それ言われると逆に胡散臭くてうぜえんだ、宗教にしろなんにしろ本気で堂々と信じてるやつなんてヲレには考えられない」ヲレは言う。

「それ言ってもらいたいからさっきの言った」ヂックは言う。

「そういえば、ヲレの幼馴染のワルが、言っていた。ある宗教団体から質問されて、持論を述べたら大喧嘩になったんだと」ヲレは言う。

「ようはそのぐらいに弱い宗教ってことだよ」ヂックは言う。

「そう、実際ヲレも聞いたことないところだったし」ヲレは言う。

「アサハラショコにしても、ああいうのは駄目だ。教祖は急にAV男優になってもかっこよくないと駄目」ヂックは言う、まるで自分はAV男優の素養があるんだというかのように。

「ああ、あった、ショコっぽい男優のおっさんが若い女とやってるの、AV」ヲレは言う。

「しかもそれ”キモいヤツとヤってるのがエロい”的なノリのAVのやつだろ?、ダメダメだ」ヂックは言う。

「そうだ、注文はアヘ顔ダブルピースバーガーZとかはどうよ」ヲレは言う。

「そういえば、どういうものを販売しているのかとかの確認も今できない状態なので、それがどういったものなのか」女店員は言う。

「目を上上げて、ベロ出して、両手でピースして、ハンバーガー女体盛り、みたいなさ」ヲレは言う。

「国家資格の免状の写真で、オレはアヘ顔で撮ったことあるが、それは合格した後そのまま免状に使われたぞ」ヂックは言う。

「そうなんだ、オマエはそういう試験とか受けないやつだと思っていた。オレは、丙種危険物っていう資格、余裕で受かるだろうが、結局受けないまま学校辞めた。学校で強制なんだよ」ヲレは言う。

「丙種強制にする意味がわからないな。丙種なんて。ならオマエ乙4とかも存在知らなさそうだな」ヂックは言う。

「ああ、オッシュね。乙種。オツって来ると決まってオッパイって来ちまうヲレの脳」ヲレは言う。

「オッシュってあえてツを小さくいうところがポイントなんだよな、オマエのところのあのセンコーの口調。でもあいつ退職するのにはまだ早いのにやめたよな、すぐに」ヂックは言う。

「ああ知ってる?」ヲレは言う。

「オレもあそこ通っていたことがある」ヂックは言う。

「ほんと?」ヲレは言う。

「あたりまえだ、オレはオマエが全人類を平らげたと思っても生きていた男だぞ」ヂックは言う。

「そうか。閑話休題、ネーチャン、フェースブックやってる?」ヲレは言う。

「はい」女店員は言う。

「それヰルミネチィだよ」ヂックが言った。

「え?、なら電話とかしたら会えるんですか?、ヰルミネチィに?」女店員は言う。

「可能性はゼロではないよな、枕とかは通用するのか。意外とするのかもな。そう思うとあの声優も実はフリーメイソンだ、って展開もできるよな、創作とかでも」ヲレは言う。

「ついでにあの音監もな。ああ、ゼロか。0年代って、懐かしいよな」ヂックは言う。

「ああ、0年代終わってからセカイ系でもっと電波的になってきたのに0年代でセカイ系はオワコンっていう風潮な、オレは認めていないぞ」ヲレは言う。

「それと、さっきのは、アヘ顔よりもアヘフェイスとかにしろよ。フェイスって信仰って意味も持たせれるしなぁ。Zはゼータって読ませ方もできるから、あえてそっちで読んでくほうがやっぱりセカイ系だろ」ヂックは言う。

「なんかあんたいつもセカイ系で電波系で世紀末的で、人外と陰謀論を絡ませていきたがってるよな、ヲレもだけど」ヲレは言う。

「そうだよ、じゃないとセカイ系とはいえないんだよ。オレにとっても。セカイ系って定義が曖昧って風潮、オレは好きだ、よりそれのがセカイ系だと思うからだ」ヂックは言う。

「ヲレもだ」ヲレは言う。

「なあズンってセカイ系だと思わねえか、割と。シンセとかもしてるし」ヂックは言う。

「ロスジェネだしな、確か。いや、なんかゆとりのが、そのガキっぽさが逆にセカイ系だろ常考。だからヲレのカラダの年齢はゆとり世代なんだ、1995年生まれの」ヲレは言う。

「出たよ”常考”、もうそのネットスラングもリアルでいったら恥ずかしい感は0年代からあった。でも好きだぜ”常考”、常考」ヂックは言う。

「でももうあの人死んだだろ、ズンって」ヲレは言う。

「いや、あいつもおそらくUMAだから生きてるだろ」ヂックは言う。

「っていうかズンって誰?」ヲレは言う。

「ズンは世界にいっぱいあるからな。それにしても、東方聖堂騎士団、だとか、麻薬で大変有名なアリスやらを連想させてくるアイツは相当胡散臭いわ、ってなってる人のが少ないってのはみんな世紀末感なさすぎだよって感じるんだ」ヂックは言う。

「ほらセカイ系だ。あいつ実は家ではテンプル騎士団とかのコスプレしてんだろ。アレイスタークロウリー役で演劇とかな、自分で作曲した曲使ってミュージカルとかさ」ヲレは冗談まじりにそう言う。

「テンプル騎士団コスで自主制作AVとかな」ヂックは言う。

「チンポー騎士団とかいうタイトル付けだしたりとかな、壮大なまでにセカイ系だよな、あの人って」ヲレは言う

「もうなんでもセカイ系でいいんだ、それもセカイ系だ」ヂックは言う。

「でももっとセカイ系なのはトーマスヨークとか、ジョナサングリーンウッド、コーリングリーンウッドとかだろ。コーリン、ほらやっぱり『東方見聞録』、それ即ち『セカイの記述』繋がりだ。セカイ系なんだよっ」ヲレは言う。

「ああ義眼者トーマスたちね」ヂックは言う。

「ヲレはこんな話を聞いたことがある。今まであるゲームのキャラが好きだった、でもそのキャラの代わりできるぐらいステキなのと出会えれて、結果、そのゲームのキャラは興味なくなったってさ。ああ、現実の人間ってのは、たしかに変だってあるけど、いいものはいい、いいんだ、ああ、呆れるよ、こんな矛盾気味な自分に」ヲレは言う。

「ていうかさ、いま、食料足りてる?、巨乳?」と言うヂック、巨乳とは呼称である。

「はい、昼間なのに暗い家の中、残りわずかな電力の懐中電灯を使って缶詰を食べます。それを食べていたら、ホームレスになったゲス顔な社長に襲われかけました。べつにそれを食べてたから襲われたとかとは違いますが」女店員は言う。

「おまえ缶詰食べれるのか、セカイ系だな。電脳的すぎるぞ常考」ヲレは言う。

「地球ごと咀嚼したオマエが言うなよ」ヂックは言う。

「いや、さすがに缶そのものは食べていませんけど」女店員は言う。

「彼氏とかは」ヲレは言う。

「好きな先輩は死にましたけど、彼氏とかはいないです」女店員は言う。

「君ってお年は」ヂックは言う。

「16」女店員は言う。

「16か、懐かしい、いや、嫌だ。死のうとした年だ。いまでも昨日のようなんだ、これどうしよう、ヂック」ヲレは言う。

「いいんだ、そっちのがセカイ系主人公的だから。いや、オマエの場合ワルモノだろ、敵役が適役だ。でもセカイ系なら、それありだ、それ主役でも。でもさすがにただのティンピラじゃあ、駄目だ、駄作すぎる」ヂックはチンピラをティンピラと言う癖があるがこれもセカイ系だ。

「めちゃくちゃでも、セカイ系なんだ」ヲレは言う。

「うん、それがセカイ系」ヂックは言う。

「ていうかいまここ、日本か?、これ訊くのも社交辞令だ、オレにとっては」ヂックは言う。

「さあ、壊しすぎてわかんないんだ。でもこの女が日本語通じてるなら日本なんだろ、常考」ヲレは言う。


 ヲレたちは、巨乳と別れを告げた、またあうのかも、しれないが。


 ヲレは、ヂックの病院で、水を使った。義眼を外して、勢い良く流れ出ている水につけて、洗った。普通では手に入らない、特殊な水で。

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