エニグマチックディヴェロッパー

 スンさん、本名”東田スンヤ(トオダ・スンヤ)”は、数年前、暴走族たちと格闘した、勝った。まあ、喧嘩で勝ち負けとか決めるのも馬鹿だが。

 骨に皮がただ覆われたような痩せ型で、とてもバトルものも展開できなさそうなこのスンは、酒豪で、酔うと、ド強くなるんだとか。


 時は結構前。車道を”スピード違反”ギリギリのスピードで愛車のエヴォ7を駆けずり回した。

「フフン」と、不敵な笑いのスン。

 スンは今酔っている、主に酒に。

 見てすぐヲタクだとわかるスンの容姿。

 ヲタクが走り屋してるのは族は気にくわないのか、喧嘩を売られる。愛車のエヴォ7にぶつけられたのだ、何度も。

 サーヴィスエリアでのことだ。スンは車から降りて、族らのもとに向かった。

「オイッ! ヒッキーッ! テッメーおれらのバイク”べんしょう”しろよォッ!」族のボスっぽいのが言う。

「君たちがぶつかってきたんだろ」スンが言う。

「オメーがそんな車で普通とチゲーことしてるからぶつかっちまったんだボケェッ!」下っ端っぽい族が言う。

「いいよ、”弁証”しようか、肉体言語で、ボクなりの」スンが言う、不敵な笑みをしなくても不敵な感じに。

 スンは、数秒で族たちを倒した。武器は一升瓶、そしてトランペットと最近買ったメタル系エレキギター。族らが武器を使ってきたのを対抗してやむをえず使った、車から出して。

「ボクはなにも悪いことしてないよ。正当防衛だ。これをいじめとか言うならタヒねばいいのに、そもそも相手はワルだよ、ワルはワルいからワルなんだよ。警察に言わないだけ感謝しろよ、違法デシベル鳴らすぐらいしか能のない無能」スンが言う。

「おい待った」カタギではないとすぐわかる容姿、キレ気味で、キレ顔の、150センチぐらいで40代後半のスンとは反してかなり太った男がスンを呼び止める。

「なにあなた」スンが言う。

「この坊主、おれの息子だ、人殺しが。そうだ、裁判にしてやる」死にかけなだけで死んでいないが死んだことにしてそう言う族の中のひとりの父。

「ああこの下っ端?、負け組なのに下っ端の。それにおまえら、悪さして普段はそういう取締りしてくるのも散々悪く言っていてこういうときには裁判って」笑って軽く言ったスン。

「テメェ、いいかげんにしろよ。馬の骨」スンに近づいてきながらキレて言ってきたその下っ端の父。

「おまえこそいい加減にしろよチビデブデヴィル!」スンが言う。

「ハァッ?!」ものすごくショッキングな反応しながらそう言った、キレながら。

「大体よォッ、こいつらこそ、この音で臓器負担与えて人殺してるんだってこと気づけよ、俺の祖父はそれで死んだんだ、族の、人生の負け犬たちのあわれな雄叫びでさァッ!、俺が馬の骨なら、おまえたちは負け犬だァッ!、駄犬ッ!」と、スンは言うがスンはその祖父と仲良くなかった。

 スンいわくチビデブデヴィル、が、愛車のエスチマに乗った。が、そのエスチマ、ただのエスチマではないのだ、ボディー全部に地獄の絵が描かれていて、運転手のチビデブデヴィルが閻魔大王のように描かれているのだ。

「ブブウウウウウウウウウウウウウンッ!」起動するエスチマを使って、怒りを200デシベルオーヴァーで表現した、チビデブデヴィル、引き続いてその怒りを吹かして表現しながらスンに向かって轢き殺そうとしてきた。

「おまえ、真性のアレだな、荒れすぎた、あれは。アレアレだ。ヤレヤレ」スンは呆れて言った。

 スンは愛機のエヴォ7に乗車した。

「やってやれチクショウ」スンがそう言い出すとそのエヴォ7は”大型メタルスン”と言ってもいいような、メタル製の羽の生えたスンっぽいロボットに変形してチビデブデヴィルの愛車を殴り飛ばして撃破。


 スンさんは愛機から降りてサーヴィスエリアの駐車場でダンスダンスアンドダンス。マイコォジャクソン風にダンスダンスアンドダンス。スンは酔っ払うと叫びながら激しく踊りだす癖があるようだ、これもセカイ系である(こじつけ)。彼はロスジェネの男、ロスジェネはセカイ系だ(自己解釈)。


 スンは愛車を自分で改造してロボットにした、彼はただの走り屋ではなかった。

 スンは東京電機大学卒だ。

 さすが東(京電機)大。

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